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PMIとは?PMIの目的や統合領域、実施のポイント、効果やメリットを紹介


公開日:2021年3月5日  最終更新日:2022年11月22日

PMIとは?

PMIとはPost Merger Integrationの略で、当初計画したM&Aの効果を最大化するための、統合プロセスです。

「M&A後、社内体制や文化が全く異なる会社をどうマネジメントするか」という課題に対応するため、PMIの範囲は、事業や業務プロセス、内部管理体制の統合といった企業のハード的な側面に関するものから、社内文化やビジョンの統合といったソフト的な側面に関するものまで多岐に渡ります。

この記事では、PMIの目的やメリット、実施する際にポイントなどについてご紹介します。

PMIの目的やメリット

PMIとはM&Aに期待する効果の早期実現を主な目的とした統合プロセスのことです。ターゲット企業の選定(ソーシング)と同様に、M&Aの一連の流れの中で非常に重要な要素のひとつといえます。

PMIはM&Aを成功に導く重要なプロセス

M&Aで自社と異なる文化を持つ企業を買収し、統合していくことは容易ではありません。十分な統合プロセスを踏むことができなかったために、期待した効果を得られなかったM&Aの事例も数多くあります。

PMIはM&A当事者の業務プロセスや内部管理体制、社内文化やビジョンなども含めた統合を行うことで、「買い取った事業が伸びない」「期待していたシナジーが得られない」といったM&Aにともなうリスクを回避し、成功に導くプロセスです。

PMIの統合領域と実施のポイント

それでは実際にPMIを進めていくうえで、押さえておくべきポイントはどういった点でしょうか。

専門家がアドバイスを行って統合プロセスを支援する場合も多いですが、当事者としてもポイントを押さえておくとよいでしょう。ここでは、これらの統合プロセスを見ながらポイントをご紹介していきます。

実施のポイント:優先順位を決め、早期に実行する

想定するM&A効果をスムーズに得るためには、M&A後すぐにPMIできる状態にしておくことが必要です。統合領域に優先順位づけをおこなったうえで、統合プランを早期に決定します。PMI完了の目標期間をM&A後100日間と計画する「100日プラン」を立てるのが一般的です。

また、M&A直後にすぐ取りかかることのできる小さな施策、いわゆる「クイックヒット」を用意しておくことも効果的です。例えば、名刺デザインの変更やオフィス備品の充実、表彰制度の創設など、従業員が職場環境の“良い変化”を実感できる小さな施策を積み重ねることで、スムーズな統合を期待できます。

統合の領域1:経営体制や方針

PMIでは、まず両社の企業理念や経営理念、経営戦略などをすり合わせます。

この時点で、トップ同士の会談などを通じて双方の経営面などをしっかりと理解しあうことが重要になります。双方の理解が進んでいれば、すり合わせもスムーズに進めことができます。

統合の領域2:人事制度や会計制度

人事制度と会計制度も統合すべき領域です。

人事面では就業規則や評価制度・退職制度の統合を行い、会計面では外部に向けた財務会計と企業内の経営状況を把握するための管理会計の統合が必要になります。会計面の統合によって、グループ内の取引状況の把握や見直しができるようになります。

統合の領域3:事業業績の評価指標

M&A後、その効果が想定通りかを確認するには、業績などを測定できる仕組みの導入や評価制度の見直しが必要です。

従来使用してきたものでそのまま評価できない場合も多く、新たにKPIを設定したりマネジメントサイクルの導入などを行います。その上で、定期的にモニタリングして評価を行い、統合後の事業が順調に進んでいるかを検証していきます。

統合の領域4:システム

企業が統合するには、システム面での統合も必要です。情報システムなどの統合を行い、業務の効率化や問題の解消を目指します。

統合の領域5:事業の統合

PMIには、重複する領域の事業展開の再検討や、新部門の創設などを行うことも含まれます。

両社の取引先や製品・サービスなどを分析し、資本の選択や重複するサービス・製品の統廃合などを行っていくことがポイントとなります。

PMIの不徹底によるリスク

M&Aの効果を最大化するための統合プロセスであるPMIを計画通りに実施できなければ、M&A後の事業運営が不利な状況に陥るリスクもあります。

どういったリスクが考えられるでしょうかここでは、PMIを徹底できない場合に起こるリスクをご紹介します。

1:減損・撤退のリスク

統合の初期段階で検証に時間がかかったり、統合を進める段階で優先順位付けをしっかりと行えなかった場合、事業が円滑に進まず、減損の計上や事業からの撤退という事態にもなりかねません。

リスク回避のためにもしっかりとPMIを設計し、明確な優先順位付けと期限の徹底を行う必要があります。

2:人材流出による組織の弱体化リスク

M&A当事者間で企業文化が大きく異なる場合、M&A後に働きにくさ感じる従業員も少なくありません。結果として有能な多くの人材が流出することになり、組織が弱体化するというリスクも考えられます。

このリスクを防止するためには、両社の従業員の平等な扱いや、残ってほしい人材への相応の待遇など、企業文化や人事評価制度の適切な統合が重要です。

PMIの理解はM&A成功のカギ

PMIの目的や統合領域、効果やメリットをご紹介しました。

PMIとはM&A後の統合をスムーズに複数の企業を1つにすることでM&Aの効果を最大限に引き出すためのプロセスです。

異なる文化を統合し、M&A前に計画した通りの効果を享受するためにPMIは重要です。M&Aの買い手企業のみならず、売り手企業もPMIの意義を理解してプロセスに協力することで、はじめてM&Aの成功に近づくことができるといえます。

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