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MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?上場企業&スタートアップ100社の事例まとめ


公開日:2021年7月1日  最終更新日:2022年11月18日

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組織マネジメントの強化に期待大

MVVは、「ミッション(Mission)」「ビジョン(Vision)」「バリュー(Value)」の略語です。会社と従業員がMVVを共有することは、組織マネジメントの観点で非常に重要視されています。一方で、創業期は会社が目指す方向性が言語化されないまま目先の作業に忙殺されるケースも少なくありません。

ソーシャル経済メディア「NewsPicks」などを運営するユーザベースの梅田氏(共同創業者)は、創業期に起きた内部崩壊の危機により、バリュー・ミッションの重要性を認識したと、あるインタビューで語っています。

参照記事 :世界を狙う組織のつくり方~ユーザベース崩壊の危機を救った「7つのルール」~|スーパーCEO列伝

MVVは採用の観点でも好感されており、主に経営理念への理解や共感が採用時に考慮されるケースがあります。事業が軌道に乗り始めるシリーズA / Bフェーズで、その必要性に気づくケースが多い傾向です。

なお、本稿では上場企業と有望スタートアップのMVVを厳選してご紹介します。 組織マネジメントの強化につながるMVVを築き上げる一助になれば幸いです。

MVVとは?現代社会で重要性が高まる理由

MVVの定義

MVVとは、経営学者として知られるピーター・F・ドラッカーが提唱した企業の経営方針です。ビジネス環境の変化が激しい現代社会において、経営という航海の道しるべとなる経営方針の重要性はさらに高まっており、MVVを定めることで従業員に対して会社が目指す方向性を示し、組織がまとまるうえでの重要な役割を果たしています。

ミッション・ビジョン・バリューの違い

MVVは、一般的に下記のように区分することができます。

  • M (ミッション):使命、目的
  • V (ビジョン):ミッションが実現した姿(将来像)
  • V (バリュー) : 価値、価値基準

これを山登りになぞらえて解説すると、ビジョンは『登るべき山はどこなのか?』という問いの回答になります。 バリューは、そこにたどり着くために必要な装備を示し、 『目的地に着くためには何が必要か?』という問いの回答になります。そして、 ミッションは目的地に行くそもそもの理由で「なぜ目的地に行きたいのか?」という信念の部分に該当します。

それぞれの違いを把握し、経営という山登りのストーリーを構築しましょう。

MVVを策定するうえで必要なものとは

誰が決めるのか

MVVの策定は、 基本的に会社のHR部門や経営層を中心に行われます。

また、社内の他部署を巻き込んで一部の社員を参加させるケースもみられます。

どうやって決めるのか

まずは、MVVについて知ることから始めます。上記の情報を参考にMVVの定義やその意義などについての理解を深めましょう。

その後、他社の事例を踏まえて自社の環境や、状況などの分析を実行できたら独自のMVVを策定していく基盤が整います。

なお、MVVを策定してから状況の変化に合わせて、再度刷新するケースも少なくありません。

たとえば「得意を売り買いココナラ」でお馴染みの株式会社ココナラは、2020年にバリューの改定を行っています。

前回のバリューを発表したのは2014年1月。10名前後だった社員数は、約100名にまで増加しました。それまでに育まれた新たな価値観や、ミッションの実現のための課題感を背景にアップデートの方向性を定め、人事制度との連動を踏まえた設計も行われています。

代表の南氏は同社Webサイトのブログにて、あくまでも過去のバリューをアップデートしたものであり、価値観が変わったわけではないことを前提とし、「ビジョンやミッションに比べれば、バリューは会社のステージに応じてアップデートすることは自然であると考えています」と語っています。

アップデート前のバリュー

  • オープンを当たり前に
  • 目的トリブン

アップデート後のバリュー

  • One Team, for Mission – チームとして大事にしたいこと
  • Beyond Borders – 個人として大事にしてほしいこと
  • Fairness Mind – 会社を支える基盤としての価値観

 そのほかにも、どういったMVVの事例があるのか独自に調査しました。上場企業や有望スタートアップを取り上げているのでぜひ参考にしてください。

上場企業&有望スタートアップ100社のMVVに関する調査報告

調査概要

今回は上場企業、および注目のスタートアップ100社のMVVについて調査しました。以下、調査対象として選定した企業の一覧となります。


選定基準

  • 上場企業は、過去10年間(2010年~現在)までに株式会社日本取引所グループの運営サイトの東京証券取引所(マザーズ市場)に上場した企業から50社を選定
  • スタートアップは、過去5年間(2016年~現在)で事業領域別の資金調達件数を集計し、件数が多い上位10領域から、資金調達額が多い企業を選定

ミッション・ビジョンの傾向まとめ(キーワードの出現回数ランキング)

「世界」や「つくる」「創造」といったマーケット構造を変えにいくものや、「テクノロジー」や「プラットフォーム」などの手段を示すものミッション・ビジョンに多く利用されている事が分かりました。

順位 キーワード 出現回数 利用企業例
1位 世界 42回 freee(ミッション:スモールビジネスを、世界の主役に。)GA technologies(ビジョン:世界のトップ企業を創る。)
2位 38回 Chatwork(ビジョン:すべての人に、一歩先の働き方を)
ZUU(ビジョン:世界に、熱を。人に、可能性を。)
3位 つくる(創る) 25回 メルカリ(ミッション:新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る)
お金のデザイン(ミッション:人とお金の新しい関係を創る)
4位 テクノロジー 13回 ランサーズ(ビジョン:テクノロジーで誰もが自分らしく働ける社会をつくる)
5位 創造 9回 ティーケーピー(ビジョン:IT・金融ツールを活用して社会の価値を創造する革命企業!)
5位 プラットフォーム 9回 マネーフォワード(ビジョン:すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。)

時価総額が大きい企業のミッション・ビジョン

時価総額の大きい企業は、ミッション・ビジョンでも 「世界全体」や「業界全体」の変革を目指しているように、ビジョナリーな企業が多い事が分かりました。大きな志のあるスタートアップは必見です。

順位

企業名 設立年

時価総額

上場時期

従業員数

ヴィジョン

ミッション

1位

メルカリ

2013年2月 7,748億円

2018年6月

1,090名

新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る

2位

freee 2012年7月 3,922億円

2019年12月

481人

スモールビジネスを、世界の主役に。

ビジネスを強くスマートに育てられるプラットフォーム。

3位

Sansan 2007年6月 2,468億円 2019年6月 710名 出会いからイノベーションを生み出す ビジネスインフラになる

4位

マネーフォワード 2012年5月 2,329億円 2017年9月 579名

お金を前へ。

人生をもっと前へ。

すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。

5位

VISIONAL 2020年2月 2,160億円 2021年4月 新しい可能性を、次々と。

上場企業・スタートアップのバリューの系統

調査対象企業におけるバリューの特性を8つの系統に分類してみました。


スピード系

HEROZの「スピード」のように、シンプルな形で速さにこだわる事を表現しているものもあれば、ユーザーベースの「How Fast ? Wow Start」のように独自性のある表現をしている企業もあります。

変化・挑戦・革命系

ログリーの「Be a challenger」のように、挑戦という一つのキーワードで行動指針をシンプルに表現しているものもあれば、ティーケーピーの「常に創造!改善!革命! 」のように、複数の要素 (キーワード)を絡めて、革命という大きな事象を実現するプロセスまで表現することもあります。

ユーザーファースト系

多くの企業がユーザーやカスタマー、お客様といった抽象的なものを対象としている一方で、フォースタートアップスの「Startups First」から分かるように、顧客(スタートアップ企業)をバリューの中で具体的に明示するケースもあります。

プロフェッショナル系

ログリーの「Be Professional」やスペースマーケットの「PROFESSIONAL」のように、プロフェッショナリズムをバリューの中で抽象的に明示する場合もあれば、クックビズの「質の高い情報提供」マクアケの「360°の成功にこだわる」のように、プロフェッショナリズムの具体像をバリューに組み込んでいるケースもある事が分かります。

チーム系

gumiの「Unite as One」ココナラの「One Team for Mission」等から、チームという言葉がOneとセットで用いられている場合が多い事がうかがえます。

ビジョナリー系

CAMPFIREの「批判を恐れず、世の中をざわつかせよう」メドメインの「インパクトの大きい方を選択しよう」からうかがえるように、社会だったり対外的な存在を意識した価値基準である傾向が強いです。

リーダーシップ系

リーダーシップをオーナーシップという言葉で表現している企業も多く、会社の目指す方向性を自分ごととして社員に浸透させるための肝となるバリュー系統のように思えます。

テクノロジー・スケーラビリティ系

マネーフォーワードの「Technology Driven」マクアケの「技術に寄り添い、社会に価値を提供する」から、こうした企業は単なる手段としてのテクノロジーの枠組みを超え、テクノロジー自体が企業にとって欠かせない中心的概念とされている事がうかがえます。

上場企業・有望スタートアップのバリューの個数

バリューの個数は各社それぞれ必要に応じて設定しており、1個から11個まで確認できました。

ちなみに、3個のバリューを掲げている企業のなかにメルカリがあります。

メルカリの3つのバリュー

  • Go Bold – 大胆にやろう
  • All for One – 全ては成功のために
  • Be a Pro – プロフェッショナルであれ

メルカリの3つのバリューは、『新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る』というミッションを達成するために社員がとるべき行動指針となっています。

特徴的なのは覚えやすさを意識してつくられていること。3つを超える言葉は覚えられない、という考えのもとで設定されています。

参照記事 :バリュー体現行動が成長の源泉!“メルカリ流”理念浸透のシカケ |CAPPY                                        

そのほか、ギークスの10の心得には「モテる人間になる」や「遊ぶ」も全力というような、一見会社と関係のなさそうな規範や日常生活に即した規範まで、幅広く定義されています。

ギークスの10の心得:

  • 年中無休の好奇心
  • 変化を楽しむ
  • Speed!Speed!Speed!
  • 想いを語る
  • 出る杭を讃える
  • 妥協のないつながり
  • 「遊ぶ」も全力!
  • 感動創造集団。
  • No.1しか興味ない
  • モテる人間になる

同社では、バリューに紐づく表彰制度が設けられています。半期に一度、行われる全体会議において最も会社の発展に貢献し、「10の心得」を実践した者にBuddy賞が与えられ、それによりバリュー浸透の仕組みが作られています。

おわりに

国内最大規模のクラウドファンディングプラットフォーム「Campfire」の創業者である家入氏は、ベンチャー企業経営者からの相談のほとんどはメンバー間のコミュニケーションなど「人」に関することだと語っています。

参照記事 :経営者からの相談のほとんどは“人”に関すること |Unipos

MVVはいわば企業独自の個性です。その個性は企業の魅力となり、他の誰も真似できない差別化要因にもなります。

社員それぞれに細かな考え方の違いはあれど、働く上で中心となる価値観や目的の共有ができていれば、組織は共通ゴールを目指し、突っ走ることができる。MVVは根幹から組織を支えるような指標であり、経営において最も重要な要素の一つであることは間違いないでしょう。

下記リンクより、「2021年最新版の上場企業・有望スタートアップ100社のMVVまとめ」がダウンロードできます。もっと詳しい情報が欲しい情報が知りたい方はぜひ、ご覧ください。

【2021年最新版】上場企業・有望スタートアップ100社のMVVまとめ

なお、MVVによる組織力強化を目指す一方、スタートアップの成長には資本政策が極めて重要です。M&Aマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」では、スタートアップ企業の成長戦略としてのM&Aや資金調達を応援をしています。お問い合わせをお待ちしています。

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