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事業会社からの資金調達のリアルとは?注目スタートアップCEOが明かす資金調達の勘どころ


公開日:2021年6月25日  最終更新日:2021年7月6日

スタートアップやM&A界隈で活躍されている方々をゲストとしてお招きし、当社代表・及川との対談動画を配信している「及チューブ」。今回は事業会社からの「資金調達」をテーマにスマートタウン・IoTセキュリティのスタートアップで、株式会社Secual 代表取締役CEOの菊池 正和氏をゲストにお迎えしました。

「VCからの調達との違いは?」「認識しておくべき注意点は?」「最大のメリットは?」など、菊池氏が明かす“事業会社×資金調達”のリアルが好評だったため、その模様を記事形式でお伝えします。

■ゲスト:菊池 正和氏(株式会社Secual 代表取締役CEO

1998年第二電電株式会社(現KDDI株式会社)に入社。auブランドにおける数多くの新製品、新サービスの企画・開発にたずさわる。2015年8月にスマートカメラを手掛ける株式会社ブイログを起業。2017年に取締役副社長兼CBOとして株式会社Secualに参画し、2018年6月代表取締役CEOに就任。

【株式会社Secual 概要】

株式会社Secualは「安心をもっと身近に、カジュアルに」のビジョンのもと、全ての人が安心して暮らせるよう、工事不要で安価なホームセキュリティサービスを提供。家だけではなく、まちづくりを通して安心・安全な環境を作るために、スマートタウン事業に取り組んでいます。

【調達実績一覧】

  • ウィルグループ
  • SEKISUI
  • SOMPOホールディングス
  • Vector
  • LIXIL など計13社(総額12億円調達)

■ホスト:及川 厚博(株式会社M&Aクラウド 代表取締役CEO)

2011年在学中にマクロパスを創業し、オフショアでの受託開発事業を4年で年商数億円規模まで成長。事業売却をした際に、企業価値の算定と買い手探しには大きく悩まされた。これらの課題をテクノロジーの力で解決したい想いから、M&Aクラウドを設立。

事業会社から資金調達を受けるメリットとは

及川:スタートアップにとって事業会社からの資金調達は結構、ブラックボックスだと思っています。オープンイノベーションとかいろいろありますが、いまいち手触り感のない話なので。

「M&Aクラウド」は事業会社からの資金調達ができるプラットフォームという側面もあるので、本日はぜひ実際のところを詳しくお聞きしたいと思います。

自社の成長戦略は、事業会社と組むことで開かれる

及川:これまでSecual社はVCから調達は行わず、事業会社からのみ約12億円の資金を調達していますよね。なぜ御社が事業会社から資金調達し続けているのか率直に伺いたいです。

菊池:前提として 事業会社からの資金調達で先方から期待されるのは基本、事業シナジーだけです。一方、VCからの調達は成長性、投資回収がメインになり、見られる期間も比較的短期、EXITまでの数年間だと思います。

それを理解したうえで当社の成長戦略を考えたとき、我々のIoT事業は住生活に関連してハードウエアを扱うのですが、これが『コンシューマー市場として、しっかり立ち上がっていくのか』どうか。『 不動産業界や住宅業界というデジタル化の遅れた業界を相手にして、本当に短期的な勝負でやるべきなのか』どうか。

最初の調達時、コンシューマー市場のIoTがなかなか立ち上がってこなかったという事情もあって、やはり 事業会社と組み、一緒に目指す世界を作っていくほうが我々にとっても、市場にとっても、ベストな成長戦略かな、と。そういう考えのもとで、基本は事業会社からの調達に注力してきました。

及川:ファーストラウンドで 事業会社は勇気がいるというか、出してもらうのが難しそうですが。

菊池:難しい質問ですね(笑)。

私がこだわったのは「どんな株主に入ってもらうのがよいか」という点です。そこをしっかりと見据えたうえで、 自分たちが主導権を持った調達、提案型の調達をすることを心がけました。

ただ、事業会社からの資金調達にはいろいろな注意点があると思います。

まず、 出資の意思決定にそれなりの時間がかかりますし、創業当初のスタートアップが彼らと話した場合、タイミングを間違うと、その会社のためだけの事業を作らなければいけなくなったりします。はたまた途中で頓挫すると 、中身だけパクられたり……

自分たちが組むべき相手をよく見定めて、その 相手とのシナジーが見込める取り組みを事前にしっかり示す。彼らとしても、我々との座組を通して自社の成長を感じていただける。そのあたりにかなり時間をかけて交渉してきたことが、一つのポイントだったと思います。

事業会社から調達したいなら、〇〇〇を活用せよ

及川:最初のラウンドのときに、サービスのプロトタイプみたいなものはできてましたか?

菊池:起業当初、Makuake(クラウドファンディング)で資金調達をさせていただいたんです。Makuakeを活用したIoTスタートアップとしてはかなり初期の例ですね。

600万ほど調達したものの、ハードウエアを作ろうと思ったら、その金額ではとても無理で。さまざまな コンペティションに出て賞をいただくたびに知名度を上げ、そこで我々を知った事業会社と資本提携させていただきました。主にマザーズ上場したてのスピード感のある会社でしたね。

2017年夏くらいにLIXILのアクセラレーションに参加して賞をいただいた結果、調達にもこぎつけました。その先の調達にもつながっていく、大きなイベントになったと思います。

事業会社から調達するメリットとしては、当然ながら事業シナジーがあります。新製品・新サービスを共同開発したり、お互いのアセットを組み合わせて新規事業を作りこんだり。

そういった成長戦略が描けることに加え、 その会社から調達したことで生まれる信用力も結構、大きいなと実感しました。その当時、「LIXILが出資している会社」であるという事実をつくれたことは会社の成長をかなり強力に後押ししてくれたと思います。

及川:法人営業のアポ率とかクロージング率は、相当変わりましたか?

菊池: 「LIXILも出資している会社です」という営業トークは、セールスの現場では非常に強みになりましたし、その後、資金調達するときの商談・交渉においても非常に力になったと思います。

及川:事業会社から資金調達しようと思ったら、アクセラレーターに出まくった方がいいぞ、と。

菊池:アクセラレーションプログラムは、当時から事業会社とつながる一つの手段でしたし、最近は特に増えているので大いに活用したほうがいいと思います。

それ以外にも、さまざまなところで事業会社と出会うきっかけはあるでしょうから、そうした出会いを大切にしていく、かつ、自分が主導権を持って懐に飛び込んでいく、そんなテクニックが必要な気がします。

自社は事業会社向き?それともVC向き?調達先を選ぶポイントとは

及川:次にVCからの調達に適する事業と適さない事業、もしくは事業会社からの調達に適する事業と適さない事業についてお聞きしたいと思います。

判断材料はシナジーが見込めるか、見込めないか

及川:当事者として菊池さんの感触はいかがですか?

菊池:ひとことで言うのは難しいですが……。

事業会社からの調達では お互いのシナジーのために手を組み、目指す世界観を広めていく画を描くのが最も適したやり方だという気がします。

我々の例で言うと、住宅業界において我々のIoTを普及させる一つの手法として、家もしくはマンションが建った瞬間から、標準で当社製品が設備として入っているような世界をつくりたい。それは、我々にとってはもちろん、他社との差別化要素を持ちたいハウスメーカーや、ディベロッパーにとってもメリットになることです。

一方、VCからの調達は 短期的な成長性、投資回収、リターンを得られるか、というところにフォーカスされます。我々のように時間をかけてストックをためていくとか、ディベロッパーさんと一緒に街づくりをしていくといったケースだと、あまり時間軸としてミートしない感覚です。

及川:もしバリューチェーンのなかに入れないケースでは、事業会社からの調達にあまり適さないですか?

菊池:基本的にはそうですね。そのバリューチェーンのなかに、 自分たちにとってのメリットがどれだけあり、かつ相手に対してどれだけのメリットを提供できるか。それが片方向でもダメで、お互いにとってそれぞれのバリューチェーンにしっかりはまるパートナーかどうか、そこの見極めが必要かなと思います。

具体的な話を進める際に気を付けるべきポイント

及川:前提として事業会社側の課題感がないと、今の話にはならないですよね。大企業が持っている課題感を、どうしたら学生起業家や若い起業家がキャッチアップできるでしょうか?

菊池:私自身、KDDIで長く会社員をやっていたので大企業のなかの状況は、ある程度経験から予測できる部分があります。クロージングに関しても、とっておきのキーワードを持っていたりとか。これはちょっと人には言えないんですけど…。そうした経験が、事業会社からの調達に役立っている部分はあるかもしれません。

あと、そういった経験があるかどうかは別にして、事業会社と話をするときのポイントは先ほどの主導権の話であったり、出資いただくときの条件とかですね。

考えられるリスクとしてはNDAも結んでいない状態で事業内容をしゃべりすぎ、アイデアをパクられたり、出資後にお互いの成長が描けず、「気が付いたら、あいつら自社の成長しか考えてないな」といった状況になったり。投資部門と現場部門は必ずギャップがあります。

そうしたことを想定して、 自分の相対のメンバーがどういった方なのかという“人”の見極めと、先方の経営幹部がどのくらい最初から関与しているか、このあたりはよく見定めて相手としっかりお話しすることが大事だと思います。

及川:「事業会社からの調達が適するキャリアがある」とも言えそうですね。

菊池:どうなんでしょう、もしかしたらあるのかなという気はしますが。当然、それ以外に必要なものもあると思いますし。

及川:すでに大企業に勤めた経験のある方にとっては、それを武器とするようなファイナンスのやり方もあるよ、と。

菊池:それはそうですね。

「ピボット」はスタートアップの成長に必要なこと

及川:事業会社からファイナンスしてシナジーを期待されているなかで、もし「ピボットします」と言ったらどんな空気感になるんでしょうか?

菊池:ピボットの度合いにもよると思います。スタートアップが連続的な成長をしていくなかで、あるタイミングでギュンと非連続的に上がることができなければ短期での成長が見込めません。

ピボットみたいなものを繰り返しながら事業を拡大させていくというのは、むしろ必要なことだと思います。そういう意味では、我々もホームセキュリティだけでなく、街全体にサービス対象を広げたり、そこから居住者向けのさまざまなサービスを展開したりしてきました。

ただ、そうした成長戦略を描く際も、当社のコアバリューであるスマートセキュリティの考え方は一切変えていません。

我々も、そうした一つのピボットともいえる街づくり事業を介して、大手企業様から出資いただいたことがあります。そこについては、自社で考える成長戦略とピボットの方向性を明確にしたうえで、それを支えてくれる事業会社と意識を合わせしていくことが必要かと思います。

投資部門と現場の間で生じるビジネスギャップ問題

及川:株主とのコミュニケーションを頻繁に取っているケースも多いと思いますが、それは月1回の定例でやる感じですか?

菊池:もしかすると、さらに頻度は高いかもしれないです。定期的に株主として事業の進捗を確認するよりも、一緒に取り組んでいる事業に対して「もっとこういう方向性で新しいことを考えていこう」とか、我々としても「今後の街づくりにおいては、こういったサービスも連携先を増やして一緒に取り組んでいきませんか?」とか。お互いの成長について、提案ベースで議論する場が定期的にある感じです。

及川:そのディスカッションに参加されるのは、基本は菊池さんですか?「現場同士で勝手にやってください」みたいなこともできたりしますか?

菊池:私を含めて先方も役員レベルが出てきますし、かつ現場も交えて複数人でやり取りさせていただいています。

及川:そういうコミュニケーションなんですね。VCの事業アドバイスの定例とは全然違う感じで。

菊池:すでにお互い共同の事業が進んでいますので、話し合う内容はより具体的になっていると思います。

及川:株主が多くいらっしゃるなかで、コミュニケーション量とかの濃淡はありますか?

菊池:ありますね。先ほども若干触れましたけど、投資部門は出資することが仕事なので出資したがるんですよね。やっぱりそれが実績になるので。

一方で、現場部門は事業として成り立たせて自分たちの抱えているサービスなり、商品を拡大させていかなきゃいけない。

そういったギャップがある以上、現場レベルで進まなくなることはあります。出資いただいたものの、うまく事業推進まで至れなかったケースはゼロではないです、正直なところ。

及川:そのときに普通の投資のイメージだと「シナジーが出なかったから、買い戻してくださいね」みたいな怖い妄想があるんですけど、そういうのはないですか?

菊池:可能性はゼロではないと思います。そのあたりも生々しく言うと、当初から投資契約上、どういう条件で投資いただいているのか、というところが大きいと思います。

たとえば、ある住宅メーカーから出資いただいた場合、同社の競合にあたる会社とはビジネスができなくなってしまう可能性もあります。そのあたりを含め、条件面はかなりしっかり押さえておいたほうがよいと思います。

及川:「主導権」というお話がたびたび出てきました。対等な立場でお話しされているし、それを理解している事業会社をつかまえられている、そこが重要なのかなと感じています。

菊池:スタートアップを下請け扱いする企業もまだまだいらっしゃるので、パートナーとしていかに会話を積み上げられるかも重要です。

及川:そもそもの話になりますが、なぜ大企業はスタートアップに投資するのか。よく「自社では作れないから」と聞きますが、スタートアップをやっている身としては本当にそうなのかなと思っています。

菊池:事業会社の目的は明確で、自社の成長だと思います。そのためにスタートアップと組み、自分たちがやりたいことを実現できることが見えれば彼らはお金を払ってくれますよね。

及川:いわゆる総合商社的な商流に乗せる、みたいな。そういうのが分かりやすい例ですかね。

菊池:たとえばハウスメーカーであれば、「普通に家を作って売るだけでは売れない。どうしたらよいだろう」というときに、一つの手法として全面的にスマートハウス化していきます、という方向性が考えられます。

ただ、彼らは家を作るノウハウはたくさん持っていても、スマートハウス化のような新たな領域に踏み込むとなると、なかなか短期で具現化するのは難しい。それであれば、求める領域に長けている会社とのアライアンスで自社のソリューションとして手に入れる、これも一つの例だと思います。その会社に出資する形で自分たちでも一定レベルに踏み込み、新事業を推進していくという非常に分かりやすい構図ですよね。

事業会社からの資金調達は時間がかかる?最終的な決定までの期間とは

及川:VCと比べて事業会社からの調達で特に苦労した点はどんなところでしょうか?

資金調達を受けるまでの期間は〇〇は見ておくべき

菊池:事業会社からの調達は時間がかかります。決定まで半年は見ておいたほうがいいです。あと2~3カ月で調達しなければいけないというタイミングで、事業会社と話し始めてしまうとちょっと厳しいです。

先々を見据えてどういったところに入ってもらいたいか、という構想を描きながら、あらかじめ関係性をつくっておく必要があります。

最近は事業会社がCVCを立ち上げるケースが増えているので、期間は短縮されてきていると思います。ただ、当社のファーストラウンド時はCVCも今ほど立ち上がっていなくて。本体からのプロパー投資となると、「買収されるのか?」というくらいのデューデリジェンス(DD)を受けるので、それも含めて期間は延び気味になると思います。

及川:事業会社だとワンショットでどれくらいの金額を出せるんですか?

菊池:それはなかなか……ひとことでは言いにくいですが。バリューに対する数%レベルの…3,000万円~5,000万円、5,000万円~1億円程度の調達規模が主流というか、出しやすい範囲かと思います。

ただ、VCと大きく違うのはシナジーありきな点です。その時点でのバリューとか、株価にはそんなに大きく左右されません。そういう意味では、ラウンドが進んでいる会社であっても事業会社からの出資であればハードルは低いかと思います。

及川:バリュエーションを作るときは「何回ラウンドしてEXITするから、これくらいのバリュエーションで」といったピッチはしましたか?

菊池:当社のケースだと、たとえばIPOを一つのEXITとして見据えた場合、そこまでの資本政策はある程度、計画していました。完璧にはまらなくてもいいとは思いますが、見込みはしっかりと立てておかないと間違った値を入れてしまうんじゃないかな、と。

及川:事業会社の場合、リードみたいな概念はありますか?

菊池:ないです。リードをお任せできるのは、VCに出資してもらう際のメリットですね。

事業会社の場合でも、大手がリードしてくれてまとまった金額を一回のラウンドでしっかり仕上げていただけることもあり得るとは思いますが、当社の場合、私が一社一社と交渉したというのが実態で、ラウンドやリードという概念はなかったんです。

及川:それだけ長いリードタイムがあると、年がら年中、資金調達に動く感じになるんですか?

菊池:そうですね。調達するかどうかは置いておいても、結局それが事業の成長に密接に関わります。セールス活動が調達に役立ったりもするので、常に止まらずに調達活動をしていると言えるかもしれません。

「出資してくれそう」の手応えを感じるタイミング

及川:私も事業会社や、CVCとやり取りしたことがありますが、VCと比べると「出資してくれそう」という手応えが得られるタイミングに違いがあると感じます。どこまでいったら確度が9割になると思いますか?

菊池:基本的に、私は調達に関しては着金するまで気を抜かないです。

途中で「いける」という雰囲気を感じたとしても、契約を結んだとしても、ダメになる可能性はゼロではありません。実際、それを経験されている方もいるので、どうしても慎重にならざるを得ない。

相対するのは経営企画等の担当者のケースもあるので、そこから最終決裁者までいくには階段が4つ、5つあるわけですよね。人が介在するステップが増えるほど、情報伝達や意思決定が難しくなります。

及川:話の持っていき方の作法も、きっとVCと違うんですよね。まず相手の課題が分からないなかで、シナジーなども考えて提案しないといけない。最初は担当の方にあたりますか?

菊池:担当の方から入るケースと、トップダウンで入るケースがあります。

いずれにしろ我々が持っているアセットとのシナジーを、我々なりに考えて提案することが多いです。それを提示したうえで、軌道修正しながらお互いにとってベストなシナジーを探っていく形です。

及川:最初からプランありきで持っていくんですね。

菊池:一方的に鼻息荒く自社の紹介だけしても、なかなか前に進めないケースもありますからね。

相手のことを自分たちなりにしっかり咀嚼して、提案もセットで持っていくと相手の印象もだいぶ変わると思います。大変ですけど。

及川:進めていくなかで、ディールをブレイクさせないための注意点あはりますか?よくブレイクするポイントというと?

菊池:入り方にもよりますが、現場から上げた場合のブレイクポイントは、トップまでいく手前の中間層のところ。ここでしっかりと共感いただければ、最終決裁者に話を上げていただく段取りになります。

ですが、間に守り気味の方がいらっしゃると、ブレイクしやすい傾向があります。そういった方をなるべく早めに巻き込んでいくことが突破口になると思います。

逆にトップから入ったケースでは会社にもよりますが、現場が「また社長が言ってるよ」みたいな反応になる場合もある。

及川:白ける?(笑)

菊池:はい(笑)。経営と現場の温度差がある会社だと、そこから話が進まなかったり。正直、我々としても様子を見ながら早々に撤退するケースもあります。

及川:どこで感じ取って判断するんですか?

菊池:私の肌感覚ですね。

及川:そこに菊池さんの鋭さがあるんですね。

事業会社が“将来的な安定株主”になる根拠とは

及川:先ほど菊池さんは、IPOでのEXITを考えているとおっしゃってました。

菊池:我々の一つの通過点として、IPO EXITは視野に入れています。市場からの資金調達で、さらに事業拡大していきたいです。

及川:事業会社に対しては、IPO後も「基本、株は売らずに持っていてください」みたいになるんですか?

菊池:シナジーがある関係なので、事業会社は基本的に安定株主になると思います。

及川:出資している事業会社が安定株主になると、流動性を高めたい場合にはどうしますか? 自分たちで売る?

菊池:場合によっては、流動性を確保するために自分たちで売ることもあるかもしれませんが、株主のなかで売却する事業会社が出てくることもありえます。

今後、EXITの時期が近づいていけば、もしかするとVCにも協力いただいて少し流動性を高めようといったことも、資本政策の観点から検討する可能性があるんじゃないかと思います。

実例から見る事業会社とのシナジーの出し方とは

及川:調達先の事業会社との取り組みで、具体的に成果が上がっているケースは何かありますか?シナジーの出し方はかなりブラックボックスだと思うので、ぜひ教えていただきたいです。

菊池:たとえば、セキスイとの街づくり。

もともとセキスイは埼玉県朝霞市の工場跡地を活用して、地域に貢献できる街づくりの構想を持っていました。我々のスマートタウン事業と非常に相性のよい考え方です。

そこで、我々のアセットや今後提供したいと思っていたスマートポールを提案したところ意気投合し、「一緒にこんな世界を作っていきましょう」と合意して出資を受けられました。

2年前からは、セキスイと新たな事業展開も進めています。

2021年3月に竣工した戸建てが130世帯とマンションが212世帯、隣には大型商業施設もある複合的な街に我々のシステム・サービスがすべて標準搭載されています。これまでの一つの集大成としてローンチする予定です。

セキスイとは今後2年くらいで、そういった街を5~6カ所立ち上げることが決まっています。各街の持ち味をどう出していくか、そのためにどういったテクノロジーやサービスを注入していくか。

最初に立ち上げた街では、実証実験のような形で住民に新しいテクノロジーを体感してもらう場にしよう、といったことなどお話させていただいてます。

お互いに当初、想定していた通りのシナジーを出せているかなと思います。

セキスイからすると「街づくり」という新たな事業に取り組み、市場に対しても、そこに住まう方に対してもしっかり展開できた

我々もサービスを使ってくださる方が増えれば増えるほど、ブランド力も、事業としても成長しているし、売上効果も高まっています。本当に大きな成功事例になったと実感しています。

及川:進めるにあたって、Secual社側にセキスイ専任の担当者は置いていますか?

菊池:お互いにメインの担当を置き、そのメンバー中心に推進してきました。街づくりという規模の大きなものでしたので、会社総出でやっていた感じです。

及川:それくらい大企業に対して、コミットしないといけないんですね。

菊池:出資比率による部分もあるのかもしれません。ただ、我々としてはその比率に関わらず、自分たちの成長に向けてもそうですし、セキスイさんに対するお返しという気持ちも持っていました。

及川:そういうときのプロトタイプの開発費はどちらが持つんですか?

菊池:ケースバイケースですけど、その出資金の何%は開発に充てるとか。そういうところが投資上の条件になることもあります。

我々としては調達でBS上が潤っても、そこで開発したものはPL上の売上にならないという面もあります。そのため、別途開発費を確保して組み合わせにしたり、いろいろなテクニックを駆使してBSも、PLも潤わせることをしています。

及川:事業会社から資金調達した後に、発注してもらえるケースはあるんですか?

菊池:たとえば1億を出資いただいたうえで、全体で1億かかる事業に取り組むとしたら、「事業費の半分、5,000万円は出資したなかから使ってください。残りの5,000万に関しては、機器の購入代として提供します」とかはあるでしょうね。

及川:そうなると、その商品は競合に卸してはいけない状況が出てきそうです。しっかりとした契約が必要ですね。

菊池:そうなったときに、仮に出資者でしか使えないようなシステムを開発したら何をやっているのか分からなくなるので注意が必要です。

我々のシステムは他社でも使えるようになっていて、その第1号としてセキスイに使っていただいている感じです。

及川:標準部分の開発費はエクイティから使って、セキスイに合わせる部分は発注といったような切り分けになるんですか?

菊池:そこは、提案の仕方などテクニックの問題になります。自分たちが本来やりたいのは基盤作りの部分。そこは自社で押さえないと、相手に合わせたシステムを受託で作っているだけになります。

自分たちが本来、持ちたい部分は歯を食いしばって自分たちのキャッシュのなかでやる。カスタマイズする部分は、しっかり対価をいただく形が良いと思っています。

及川:最後に改めてSecual社の今後のビジョンをお願いします。

菊池:BtoCでのスマートセキュリティとしてのポジショニングと、BtoBないし、BtoBtoCとしてのサービス展開、そして新たに立ち上げたタウンセキュリティのBtoBないし、BtoBtoGの展開の3軸で新たな成長をしていきたいと思っています。

それに加えてさまざまなキーワードで、さらなる事業展開を仕込んでいる最中です。シナジーの可能性やご相談等ございましたら、いつでもお声がけいただければと思います。

及川:どうもありがとうございました。

資金調達もできるM&Aマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」では、スタートアップ企業に投資したい事業会社が、投資先候補に求める要件を公開中です。資金調達先探しにお役立てください。

                   

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