M&Aの全てがここにある

menu close

あなたの会社を欲しがる
買い手が見つかります

faceノウハウ

デューデリジェンスの実施方法を種類別に解説|実施の目的やポイントも


公開日:2021年7月2日  最終更新日:2021年7月14日

M&A(Mergers and Acquisitions・企業の合併と買収)においては買収候補先との価格交渉の前にデューデリジェンスと呼ばれるプロセスが存在し、限られた時間で候補先企業や業界の調査を行うことが一般的です。この記事では、デューデリジェンスの目的や方法を、項目別に解説します。

デューデリジェンスとは

M&A(Mergers and Acquisitions・企業の合併と買収)のプロセスの1つとして、デューデリジェンスがあります。英語ではDue Diligenceと書き、Due(当然の、正当な)、Diligence(努力、精励)という単語の意味から類推されるように、M&A対象企業を把握するための精密な分析、調査を指します。

デューデリジェンスの定義

デューデリジェンスの定義は、M&Aを実施するにあたってM&A対象について詳細に調査することを指します。

「デューデリ」や「DD」と略されることもあります。M&Aでは、事業・財務・法務・人事・システム・環境等、売り手企業の特性に応じて種々の調査が行われます。

デューデリジェンスの必要性

デューデリジェンスで一番重要なのは、企業価値算定に必要な情報収集と買収後の事業継続リスクの抽出です。

また、デューデリジェンスを行うことで、ステークホルダーに対してディールを実行する場合のメリット及び潜在リスクを明確にすることができます。「対象企業はこのような事業を行っており、現状これだけの価値があるが、この点についてリスクもあるので対策を練る必要がある」などと統合前に関係者に事前共有します。

一方でデューデリジェンスの結果、リスクが想定以上に大きいので案件を再検討しましょう、という結果も起こりえます。そういう意味でデューデリジェンスはM&Aにおいて避けては通れない関門だとも言えます。

参考記事:M&Aによる会社売却の主な流れ|成功させるポイントや注意点も|M&A to Z

【7つの項目別】デューデリジェンス実施の方法

ここからはデューデリジェンス実施の方法について解説していきます。今回は、法務デューデリジェンスを始めとした7種類のデューデリジェンスについて、方法を解説します。

デューデリジェンス実施の方法についてご興味がある方は、参考にしてください。

1:法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスは、M&A取引実施上のリスクや売り手企業のリスク等を法務の観点からチェックするものです。社内外でどういう契約を履行しているのかなど、既存の締結済契約書周りを中心に精査していきます。専門的な判断が含まれることが多いので、弁護士事務所の力を借りながら進めていくことが多いです。

デューデリジェンスでは単に契約書の中身を確認するのではなく、事業が継承された場合にどういうリスクが現行契約で想定されるのかを判断する必要があります。

また、全ての契約書が日本語とは限りませんので、語学に堪能な社員が内部に不足している場合、外部に委託するという手もあります。

人事デューデリジェンス

人事デューデリジェンスでは、売り手企業の従業員や就業規定など、人の雇用に関する現状を調査します。また、労務関係は法務デューデリジェンスと合わせて行われることもあります。

対象は人事制度や(特に経営陣の)報酬制度などですが、買収完了後に対象企業の重要人物が新経営陣の元で継続して就業するための新就業条件の交渉も含まれることもあります。

M&Aによって対象企業の人材も確保したいとなると、事業継承後に必要な人材は予め手を打つ必要があることから、このような人事デューデリジェンスを行って需要人物の退職リスクを可能な限り排除することが求められます。

2:財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスは、ファイナンスデューデリジェンスとも言います。売り手企業の財政状態や今までの経営成績、資金繰りなどを正確に把握します。

財務書類は上場企業の場合公開されていますが、その作成に至るプロセスについて詳細を確認していきます。主に財務経理部門が中心となり進めますが、客観性を担保するために外部公認会計士や税理士などの専門家をプロジェクトに加えることもあります。

ポイントとしては、対象企業が現在保有している資産が正当に評価されているのか、金融機関からの借り入れ状況はどういう契約の元で履行されたのか、なども同時に確認が必要です。

参考記事:財務デューデリジェンスの7つの調査内容|実施の注意点とポイント|M&A toZ

3:ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスは売り手企業の事業環境や今後の成長性を確認します。自社だけでなく市場、競合、自社の強み弱み、などについて主にバリューチェーンに沿ってインタビューを中心に行います。

ファイナンスデューデリジェンスは過去を中心に確認するのに対し、ビジネスデューデリジェンスが将来の事業予測を中心に確認します。

業種によって異なりますが、主には組織体制、独自性やリスク、知財や特許、などについて分野別にチームを組んで精査していくことが多いです。

4:ITデューデリジェンス

ITデューデリジェンスは、売り手企業が事業運営に必要としているシステム全体が対象です。

メールや経理、営業など、現在の企業活動はITシステムによって支えられていると言っても過言ではありません。売り手企業のIT状況を精査する必要性は年々増していると言えます。

具体的には、対象企業がどういうシステム構成によって運営されているのか、今後どうシステムを拡充、メンテナンスするか、どこのベンダーのどういうシステムを使っているのか、構築やメンテナンスはどこに委託したか、などを確認していきます。

近年はシステムがより複雑化しており、より多くの事業領域においてITシステムの恩恵を得ているので、システム開発会社など外部専門家の力を借りることが多いです。

5:税務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスと一緒に行われることが多いですが、対象企業の過去の納税状況が対象です。今まで正しく税金を算出、納税しているかどうかを精査します。

買収後に過去の納税申告漏れや不適切な税務処理が露見し、追加納税や重加算税などのペナルティが発生するリスクを回避します。また、繰越欠損金などを把握して将来のキャッシュフローに反映させるというファイナンス的な側面も備えていることもあります。

特にクロスボーダーM&Aにおいては、新たな投資対象国が増えることも想定されるので、その国における税制や各種法律なども事前に理解しておくことが求められます。

一般的には税理士などの専門家の力を借りることが多いですが、弁護士や公認会計士と一緒にチームを組むこともあります。

6:環境デューデリジェンス

環境デューデリジェンスは、対象企業が環境に対してどの程度配慮、意識、対策を行っているのかを分析します。

製造業など自社で生産設備を有している企業が対象になることが多いですが、物流企業など倉庫などの不動産を保有、活用している企業でも対象になります。

特に自治体など環境に対する法規制が変わっている場合は、環境対策に多額の費用が発生する可能性があるので事前に調査、分析しておくことが必要です。

7:その他のデューデリジェンス

その他のデューデリジェンスとしては、知的財産や保有技術に対するもの挙げられます。

保有している商品が他社の特許を侵害していないか、あるいは特許出願等できちんと保護されているのか、事業を行っている国や今後進出を検討している地域において、知財が特許等できちんと保護されているのか、などがポイントです。

R&D(研究開発)に多額の費用を投じている企業を買収する場合には、その技術の展開や事業化に期待して買収することもありますので、事前にデューデリジェンスの対象となりえることもあります。

また、先方の不動産が要配慮項目となった場合には、建築士や技術士などの支援を得てデューデリジェンスを行う場合もあります。

建物に内在する物理的なリスクを評価した物理的調査報告書をエンジニアリング・レポートといい、デューデリジェンスの参考として活用する場合もあります。

出典:知的財産デュー・デリジェンス標準手順書及び解説|特許庁

デューデリジェンスの実施方法の4つのポイント

今までにデューデリジェンスの種類を説明してきましたが、実際にどういうポイントに気をつけて遂行すればよいのでしょうか。

デューデリジェンスは時間とリソース、予算が限られている中で執り行う必要があります。つまり、知りたいこと、ではなく、知らなければいけないこと、を中心に調査・分析しなければなりません。

ここからは、デューデリジェンスを実施する際の4つのポイントについて解説します。

1:実施する優先順位を決める

前述した7項目のデューデリジェンス全てを完全に実施するには、時間もコストも膨大に掛かります。ましてやM&Aは相手や他の買収希望企業などもあるため、限られた制約条件のもとで行う必要があります。

また、相手先に応じても変わってきます。ファンドが買収する場合と事業会社が買収する場合では、買収後の事業永続性に関して大きな見解の違いがあります。相手によって、適切なデューデリジェンス対策が必要でしょう。

どのデューデリジェンスをどこまで実施するのかは、デューデリジェンスに入る前に決めておく必要があります。もちろん、期待通りの結果や資料が得られない場合も想定してプロジェクトやタスクを決めておく必要があります。

特に相手先企業へのヒアリングの場合、担当者が出張や休暇中といった事態も起こりえるので、常にバックアッププランを想定しておく必要があります。

2:実施する時期

デューデリジェンスを実施する時期は、基本合意契約書が締結された後です。基本合意とは、買収企業と売却企業が事業統合に向けて契約書締結時点での基本的な諸条件の合意事項を確認するために当事者間で締結する契約書です。

あくまでもデューデリジェンス前の合意であるため、デューデリジェンスの結果によっては条件の変更が避けられないこともあり、さらに事業統合そのものが実行されない可能性も存在します。

3:実施のコスト

デューデリジェンスに要するコストで大部分を占めるのは、外部専門家への業務委託コストです。事業に関する幅広い内容を短期間かつ専門的に分析する必要がありますので、外部の協力を得るのは必須だと言えます。

デューデリジェンスを効率的に進めるには、FA(ファイナンシャルアドバイザー)と呼ばれる専門家の支援が有益です。

また、専門知識という点では、弁護士、会計士、税理士などの協力も必須です。難解かつ複雑な契約書や過去の納税状況などは、専門家の協力を得ずに内容の確認や分析を行うのは非常に困難だと言えます。

特にクロスボーダーM&Aであれば対象企業の国籍に応じて税制などの法制度も異なりますので、より専門家の協力は必須です。さらに、言語が異なることによるコミュニケーションの支援も期待できるでしょう。

4:実施内容を明確にする

実際にどの分野のデューデリジェンスを実施するか決定した後は、項目ごとにどこまで知りたいのか、最低限確認すべき点はどこなのか、どういう方法で実施するのか、ということです。これらを時間軸と合わせて検討する必要があります。

具体的には、調査項目をリスト化するところから始めます。リストには、デューデリジェンスプロセスと担当者、日時を記載する必要があります。また、得られたデューデリジェンス情報も併せて管理することが必要です。

最低限やるべきこと、余裕があれば知りたいこと、期待はしていないが知ることができればラッキー、と難易度や期待値に応じて項目ごとに濃淡をつけておくと良いでしょう。

オンサイトデューデリジェンス

売り手企業から入手した資料を分析するだけなら、買い手企業の自社の会議室でも十分に可能です。買収規模や売り手企業によっては、それだけで済ませてしまうこともあります。

しかし、より詳細な状況を理解するためには売り手企業に赴いた方が効果的だともいえます。このように、売り手企業でデューデリジェンスを実施することをオンサイトデューデリジェンスと言います。

サイトビジット

売り手企業の事業拠点を訪問してデューデリジェンスを行うことを、サイトビジットと言います。オンサイトデューデリジェンスと類似していますが、重要な拠点を実際に訪問すること全般を指すことが多いです。

マネジメントインタビュー

デューデリジェンスにおいて売り手企業のインタビューの1つとして、経営陣に対してインタビューを行うことがあります。会社の規模にもよりますが、経営陣に加えて対象事業の主要ポジションの責任者に対してインタビューを行います。

ポイントとしては、それまでにデューデリジェンスで調べてきた項目に対して、経営陣の観点から過去にどう対応してきたのか、今後どういう計画を持っているのか、などを確認していくことで、きちんとガバナンスが効いている組織なのか、強いリーダーシップに率いられているのか、などが見えてくることもあります。

対象企業の経営陣に関しては、買収後に事業の執行を引き続きお願いするのか、それとも自社で行うのか、などさまざまな選択肢があります。よって、事業買収後の雇用などについてはできる限りインタビューにおいては言及しないよう、細心の注意を払うことが必要です。

データルーム

デューデリジェンスの過程において、対象企業の膨大な情報を入手しますが、それらは紙だけでなく、写真や電子データなど多岐に渡ります。また、入手方法も、提供されたものから自分たちで調査会社などを介して得たものなどさまざまです。

多くの情報は経営の根幹に関するものなので、秘匿性の非常に高いものとなり、管理や情報漏洩には最新の注意を払う必要があるため、資料等を独立して保管する場所を設定します。

その保管場所をデータルームと言い、かつては会議室などを用意して、入退出者を管理するという方法が一般的でした。

近年は電子化された情報が増えてきたこと、また、電子的パスワードなど万が一漏洩しても参照されない仕組みが一般的になってきたこと、アクセス履歴が追跡できること、などから、オンライン上の仮想フォルダを多用する傾向が増えてきています。これらをヴァーチャルデータルームVDRと呼び分けることもあります。

デューデリジェンスを実施する6つの目的

デューデリジェンスは短期間で非常に多くの項目を同時に行う必要があるので、目先の作業に集中するあまり本来の目的を見失いがちになることも多々あります。

常に、事業統合したらどうなるだろう、事業成長のためにはどういうリスクがあるだろう、これ以外の方法はないだろうか、と自問自答しながら作業を進めることが必要です。

ここからは、デューデリジェンスを実施する6つの目的について解説します。

1:企業価値の判断

企業価値の算定方法には、DCF法やマルチプル法などいくつかの種類がありますが、どうして企業価値を判断することが必要なのでしょうか。

それは、適切に企業価値を判断することで、売り手企業にオファーする価格の検討や、そもそも投資するべきか否かの検討など、事業統合の意思決定を助けるためです。

実際には、買収価格は売手と買手の交渉で決まりますが、判断となる基準がなければ交渉を始めることができません。きちんとした論理が背景にあることで、事業に対する真摯さや買収後の事業成長を双方が理解することができます。

参考記事:DCF法とは?DCF法による企業価値評価のメリット・デメリット|評価のポイント5選|M&A to Z

参考記事:企業価値評価の手法から考える、企業価値向上のための4つの方法とは?|M&A to Z

2:契約後に問題点が生じないための事前対策

短期間で売り手企業の調査を行うため、リスクを完全に排除することは難しいのが実情です。

デューデリジェンスにおいては、リスクを排除するのではなく、リスクの中身やそれに対する売り手企業の準備方法などの確認に注力したほうが、効率的にデューデリジェンスを遂行できます。

リスクの抽出だけでなく、経済的損失を金額ベースで幅を持って見積もっておくことが重要です。

3:情報を収集し経営方針を立てる

対象企業が今までにどのような考え方に基づいて判断してきたのか、その礎となる経営方針はどういうものなのか、を確認していきます。

方針そのものだけでなく、経営陣や現場にまで浸透しているのか、方針に基づいて具体的にどのようなアクションが決定・実行されたのかなどが確認のポイントです。

また、得られた情報を元に、統合後の事業計画を立てる必要があります。デューデリジェンスの結果、製造過程に人材が不足しているようだ、との結果が得られた場合には、自社の人材を一定程度拠出する必要があるなどです。

4:ステークホルダーへの説明責任

企業は多くの人に支えられて事業を行っています。それは従業員だけでなく取引先や株主、顧客など多岐に渡ります。きちんと説明責任を果たしているのか、その結果をどのように事業運営に反映させているのか、などが確認のポイントです。

デューデリジェンスの結果として、ステークホルダーに対して定性的かつ定量的にM&Aを行うメリットとリスクを説明することが可能になります。これを怠ってしまうと、例えば事業統合の通知をした際に想定外の反対を受けたり、関係修復に想定外のコストが掛かってしまいます。

特に上場企業の場合、より社会に対しての責任が高く、株主に対する説明責任をどこまで果たしているのかは事業運営上非常に重要です。

5:実態・問題点の有無を把握

どの企業にも多かれ少なかれ問題点は存在します。デューデリジェンスのプロセスでは、将来発生するかもしれないリスクをいかに事前に見極めておくかが重要です。

「デューデリジェンスを行ったから完全にリスクは排除された。このディールは安心だ」との声を耳にすることがありますが、決してそうではありません。あくまでも現状把握と交渉準備、統合後のリスク把握です。

同様に、デューデリジェンスを行っても分からないことがあるということも覚えておきましょう。

6:契約内容へ反映させるため

デューデリジェンスを終えた後、正式に事業統合を進めるとなった場合には、対象企業と具体的な買収金額交渉に入ります。

デューデリジェンスで得た情報を元に、定量的に事業の価値を算出しますが、算出の根拠やプロセスがデューデリジェンスで大きく変わることもあります。

また、M&Aの手法を変更することもあります。例えば、対象企業の希望が株式譲渡によるM&Aだとしても、デューデリジェンスの結果リスクがあると判断して、結果として事業譲渡に変更する可能性もあります。

デューデリジェンスを実施する方法を把握しよう

今回はデューデリジェンス実施方法やそのポイント、デューデリジェンスを行う目的について解説しました。

デューデリジェンス実施方法に興味のある方は、本記事を参考にし、短期的な事業拡大の一手法としてより積極的にM&Aを検討してみましょう。

M&Aマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」なら、M&Aの買い手企業をインターネット上で探すことができます。経験豊富なFAへの相談も可能です。M&Aに興味をお持ちの方はご利用ください。

                   

あなたの会社を欲しがる
買い手が見つかります

M&Aに関するご相談

textsms

M&Aに関するご相談

textsms

ご相談はこちらから

remove close

ご相談はこちらから

remove close
keyboard_arrow_up