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事業の選択と集中に使える“会社分割”とは何か?メリット・デメリット、手続きを解説


公開日:2021年7月16日  最終更新日:2021年7月16日

会社分割は事業が多角的になり複雑になり過ぎている場合や、1つの事業に注力したいと考えている場合に活用されることの多い組織再編手段です。本記事では会社分割のメリットやデメリットに加え、手続きや必要期間も紹介しています。

会社分割とは

会社分割とは、会社が一部または全部の事業に関して有している権利義務を切り出して、ほかの会社に承継させる組織再編の方法です。権利義務を承継させる相手の会社は、既存の会社の場合も新たに設立する会社の場合もあります。

後ほど詳しく説明しますが、会社分割には「吸収分割」と「新設分割」という2つの手法があります。

吸収分割では、会社の事業に関する権利義務を分割する会社を「分割会社」、承継する会社を「承継会社」と呼びます。

新設分割では、事業に関する権利義務を承継する目的で新たに設立される企業を「設立会社」または「新設会社」と呼びます。

1:吸収分割

吸収分割とは、既存の会社を承継会社とする会社分割の方法です。吸収分割において、承継会社は、承継する事業に関連する資産や債務、許認可などを権利義務として分割会社から包括的に承継します。

承継会社は、分割する事業に関する資産を分割会社から承継するため、会社分割では株主総会で株主の承認を得るとともに、分割会社への株式や金銭の譲渡によりその資産が減少する場合があるため、債権者保護手続きが必要となります。

2:新設分割

新設分割は、承継会社となる会社を会社分割のために新設する会社分割の方法です。

例えば、食品事業と製薬事業を営むA社が、食品事業のみを分割してB社を設立し、会社分割後は製薬事業のA社、食品事業のB社として営業する会社分割が「新設分割」になります。

新設分割でも、分割会社側では、株主の承認や債権者保護手続きが必要になります。

3:会社分割時の交付対価

吸収分割の場合には、分割会社が承継会社に権利義務を承継させ、その対価として分割会社に承継会社の株式または金銭を交付するケース、分割会社の株主に承継会社の株式または金銭を交付するケースなどがあります。

一方、新設分割の場合には、分割会社が承継会社に権利義務を承継させる対価として、承継会社から分割会社に承継会社の株式を交付するケース、分割会社の株主に承継会社の株式を交付するケースなどがあります。

以上のように、吸収分割では、分割会社に対して承継会社の株式または金銭を対価として交付することが可能です。新設分割の場合は、分割会社に交付できる対価を承継会社の株式のほか、一部を社債等(社債又は新株予約権)とすることが可能です。

事業譲渡との違い

会社の事業を他社に譲渡する方法として、会社分割のほかに事業譲渡という方法もあります。会社分割も事業譲渡も、事業の一部または全部を他社に譲渡するという点で共通しています。

事業譲渡では、譲渡する資産や権利義務の範囲や種類を指定できる一方、それらをそれぞれ個別に移転させる必要があります。これに対し、会社分割では、資産や権利義務を包括的に承継するため、個別に移転手続きをする必要がありません。

許認可が必要な事業を譲渡した場合、会社分割では基本的な権利や義務は包括的に承継されますが、許認可の取扱いはその種別ごとに異なるため、個別の確認が必要となります。

具体的には、「届け出のみのケース」「承認が必要なケース」「新規に取得する必要があるケース」の3つのパターンのいずれかとなります。また、同じ業種であっても新設分割か吸収分割かにより、取り扱いが異なるものもあるので注意が必要です。

一方、事業譲渡では許認可を取り直すだけでなく、従業員とも雇用契約を巻き直す必要があります。なお、事業譲渡では事業譲渡契約において明記しない限り、事業に関連する資産や債務も、元の会社に残ることになります。

参考記事:事業譲渡とは?事業譲渡の活用シーンと、売り手企業にとっての負担・デメリット|M&A to Z

会社分割の8つのメリット

会社分割によって事業を分割することには、どのようなメリットがあるのでしょう。ここでは、会社分割によって分割会社や承継会社にもたらされるメリットを解説します。会社分割で得られる効果や影響について理解しておきましょう。

1:対価を株式にすれば資金は不要

会社分割で承継会社側は、承継する事業・権利義務に対する対価を交付しなければなりませんが、新設分割では株式あるいは社債等が、吸収分割では株式または金銭が、移転の対価として支払われることとなります。

分割会社としても、承継会社から受ける株式の割合によっては、承継会社を子会社化できますが、分割会社が自ら分割設立した新設会社の株式を取得し、それを他社に譲渡する分割形態などでは株式の譲渡を受けた会社が支配権を取得することとなります。

2:従業員に個別の同意を得る必要がない

会社分割は包括承継なので、分割会社で分割する事業に携わっていた従業員は包括的に承継会社に異動となります。ただし、「有無を言わせず」異動となるわけではなく、従業員が異議を述べることも可能です。

なお、権利義務を包括承継しない事業譲渡の場合は、労働契約承継法の適用はないものの、厚生労働省の「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」は適用されるため、組合等との協議や承継予定の労働者からの承諾などが必要となります。

一方、会社分割では、労働契約契約承継法などが適用され、労働者との協議や通知手続きなどが必要となるため、どちらにおいても一定の労働者保護手続きは必要となります。

出典:労働契約承継法全文|厚生労働省

出典:事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針(事業譲渡等指針)のポイント |厚生労働省

3:一部の事業のみを譲渡可能

会社分割では、会社の事業すべてではなく一部のみの譲渡も可能であるため、戦略的な自社事業の切り分けが可能です。

つまり、会社分割は全事業を他社に承継する手段として活用することも、有望な一部の事業を自社に残して事業を大きくする、いわゆる「選択と集中」の手段として活用することも可能です。

なお、会社分割と同じく組織再編行為である合併では、事業を譲渡する側の会社自体が消滅してしまいますが、会社分割では会社が存続します。

4:包括承継で契約関係の移転が容易になる場合も

会社分割では、事業に伴う権利義務が包括承継されるため、資産や債務に関する個々の契約は不要です。

ただし、包括承継といっても、債権者や従業員、株主などが無条件で移転するわけではありません。事前手続きとして異議や承諾手続き、株式買取請求などが予定されているため、各種手続きは確実に実行する必要があります。

なお、現実の承継会社への移転手続きにおいては、「サーバーの管理や利用をどうするのか?」「従業員をスムーズに管理ができるのか?」といった、会社法だけでは解決できない問題も生じるため、これらについての対応も考える必要があります。

5:適格要件を満たせば税負担を低減できる

会社分割によって、分割会社から承継会社に資産が承継され、承継会社から分割会社に対価が支払われるため、資産の移動が発生します。

本来、会社間の資産移動では譲渡損益を計上し、課税されますが、会社分割では税制上の適格組織再編成に該当すれば、譲渡損益は計上されないため、税負担の軽減も可能です。

なお、適格要件に該当しない場合は、移転資産すべてが時価で譲渡損益計上されます。

出典: 組織再編税制に関する資料|財務省

6:不要な事業の切り離しに活用できる

一部の事業のみを譲渡可能であるという会社分割の性質から、会社分割事業を多角的に展開しすぎて膨張してしまった会社や、一部の事業が会社全体の足を引っ張ってしまう不採算事業となっている会社では、不要となった事業を切り離して経営の立て直しを図ることができます。

会社の事業を見直して、注力したい事業のみを残して経営していくことは、企業が生き残るためのひとつの手段です。不要な事業を切り離すことで、企業の立て直しや発展に注力しやすくなります。

7:新規事業の立ち上げが可能

会社分割によって膨れ上がった事業を絞り込むことで、新たな事業を展開する余裕も生まれます。

新規事業を自社内で立ち上げる場合だけでなく、ノウハウや技術を持った他社と連携して、新たな企業として立ち上げる場合にも、吸収分割を使うことで手続きがしやすくなります。

8:社内の組織や事業の効率化が見込める

会社分割により、事業の一部を切り離すことで事業や権利義務をスリム化することができ、組織のオペレーションが軽くなります。また、資産や債務、従業員などが減ることで、経営の効率化も期待されます。

経営対象が軽くなったり、組織の隅々まで目が行き届くようになったりすることで、会社組織全体の事業効率が向上することも見込めます。

会社分割の4つのデメリット

会社分割を検討する際は、デメリットを理解したうえで、会社分割の利点を検討していけば、より経営の発展につながる会社分割を実施できます。

ここでは、会社分割で考えられるデメリットを4点紹介します。

1:想定以上の債務を引き継いでしまう可能性がある

会社分割は事業に関する権利義務を包括承継するため、承継会社や新設会社が想定していた以上の債務を引き受けてしまうリスクがあります。

会社分割を契約する中で承継する資産や債務は明示されますが、例えば、分割会社側に簿外債務があった場合は、承継会社が簿外債務も含めて引き受ける可能性があります。

2:システムやオペレーションの統合が難しい場合がある

新設分割で分割会社1社から事業を分割するケースでは問題になりませんが、新設分割でも分割会社が複数の場合や、吸収分割の場合は、異なる出自を持つ事業が承継会社や新設会社内に寄せ集められることになります。

同種の事業でも、複数の会社から承継されることで、事業運営に必要なルールやシステムの統合が必要になります。すでにシステムやルールが確立されていた事業を新しいシステムとして統合していくためには、詳細な検討と時間が必要になります。

3:取得した株式の現金化等が難しい場合がある

会社分割の承継会社は、承継した事業や権利義務の対価として株式または現金の交付をします。

しかし、分割会社は会社分割の対価として株式を受け取っても、承継会社が上場企業でない場合は株式の現金化が難しくなる可能性があります。

また、承継会社が分割の対価として現金の交付をする場合は、承継会社のキャッシュフローの低下につながるため分割会社としても留意が必要です。

4:株主総会の特別決議(3分の2以上の賛成)が必要

会社分割を含む、会社の組織再編では基本的に出席株主の3分の2の賛成を必要とする株主総会特別決議が必要になります。

通常の株主総会決議に比べて承認を得るために必要な議決権数のハードルが高いため、会社分割にあたっては株主が納得できる理由を説明を用意する必要があります。

吸収分割の手続き

吸収分割では、分割会社と承継会社の間で吸収分割契約を締結し、契約内容の事前開示を行います。

事前開示した吸収分割契約の内容は、株主総会特別決議で承認される必要がありますが、会社分割の当事会社が種類株式を発行している場合、種類株主総会の特別決議を必要とする場合もあります。

株主総会による承認と並行して、債権者保護手続きや株式買取請求についても手続きを進める必要があります。

必要な期間

吸収分割では、事前開示が株主総会実施日の2週間前までに必要になります。

一方、株式買取請求に備え、吸収分割の効力が発生する20日前までに吸収分割に関する公告か通知を株主に行わなければなりません。

債権者保護手続きが必要な場合は、効力発生日の前日から1か月前までに、債権者に対して公告や催告しなければなりません。

吸収分割を行う場合、分割計画の立案からスタートし、取締役会決議、分割契約の締結、公告掲載や債権者保護手続き、分割契約承認のための株主総会といった一連の手続きが必要となるため、通常2ヶ月以上の時間がかかります。

新設分割の手続き

新設分割では、分割会社が分割計画を作成し、計画内容の事前開示として分割計画書を備え置きます。事前開示した新設分割計画の内容が特定の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、株主総会特別決議のほかにその種類株主の特別決議の承認を受ける必要があります。

株主総会による承認と並行して、債権者保護手続きや株式買取請求についても手続きを進める必要があります。新設会社の登記を行った日が承継会社の設立日となり、会社分割の効力発生日となります。

必要な期間


新設分割では、原則、反対株主に対する通知を承認決議から2週間以内に行う必要がありますが、株主全員の同意があるときや簡易新設分割の場合には株主総会決議を省略することができます。

なお、反対株主は、通知または公告から20日以内に株式買取請求をする必要があります。

承認決議が可決されれば、新設分割が可能となるため、新設分割計画作成から効力発生まで、通常2ヶ月ほどの時間がかかります。

しかし、例えば未上場企業で株主全員の同意が得られるような場合には各種手続きが省略できるため、期間の短縮が可能となりますが、その場合でも労働者の保護手続きは必要なため、最短でも約2週間の時間が必要となります。

事業の切り分けを考えるなら、手続きと税制面でメリットが多い会社分割がおすすめ

事業を分割して新たな会社を設立する場合や、同じ事業を営んでいる他社に譲渡する場合に、手続きや税制面でメリットが多い会社分割が便利です。

会社分割による事業分割のメリットとデメリットを理解し、会社分割をスムーズに進められるように備えておきましょう。

                   

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