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株式譲渡と事業譲渡の違いを比較!選択すべき基準も解説


公開日:2021年7月17日  最終更新日:2021年7月17日

本記事では、株式譲渡と事業譲渡の違いについて解説しています。中小企業のM&A(Mergers and Acquisitions・企業の合併と買収)では、株式譲渡か事業譲渡が選択されるケースが多くなっています。両手法の違いをしっかりと認識することで、自社がどちらのM&A手法に適しているか判断するための材料として役立ててください。

株式譲渡とは

株式譲渡とは、譲り渡し側の株主が譲り受け側となる企業に対して保有する対象会社の発行株式を譲渡する手法のことをいいます。

株式譲渡は株主が入れ替わるだけで、会社そのものに変更はありません。よって、原則として対象会社の資産負債、従業員、契約関係、許認可関係をすべて、譲り受け側が引き継ぐことになります。

株式譲渡は株式を譲渡して株主を変更するというシンプルな方法であるため、事業譲渡と比較すると手続きが簡単であることが特徴です。

また株主が個人の場合には、所得税の申告分離課税に該当するため、譲渡益の約20%に課税されます。総合課税であれば利益に対して最大で約55%の税金が課税されることと比較して、税制面でもメリットが大きいと言えます。

出典:中小M&Aの主な手法と特徴 |経済産業省

出典:No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)|国税庁

事業譲渡とは

事業譲渡とは、対象会社の事業の全部または一部を買い手に譲渡する手法です。株式譲渡とは異なり、会社の法人格すべてを引き継ぐのではなく、資産や負債等を個別に特定して引き継ぐことになります。

そのため、債権債務や従業員との雇用関係など、相手方がいる契約関係は当然に承継されるものではなく、相手方の同意を取ったり契約を巻きなおしたりする必要があります。

引き継ぐ対象を特定することができるという上記の性質を生かして、買収目的として都合のよくないもの(例えば訴訟で係争中の案件等)を分断して条件交渉を有利に進められるといった点がメリットです。

また、事業譲渡の場合、譲渡価格と純資産の差額がのれんとして計上されるため、買い手企業にとっては、のれんの償却費用による節税のメリットを受けることができます。

出典:中小M&Aの主な手法と特徴 |経済産業省

出典:企業買収に伴い生じる「のれん」は損金算入できるか|デロイトトーマツ

株式譲渡と事業譲渡の違い

株式譲渡は対象会社発行の株式を譲り受けることにより、対象会社そのものを取得することです。一方、事業譲渡は対象会社の持つ事業の全部もしくは一部を買い手が取得することです。

この事業譲渡と株式譲渡の違いが、これから見ていく各項目の違いにつながってきます。

出典:中小M&Aの主な手法と特徴 |経済産業省

1:取引の主体

売り手は株式譲渡の場合、株主が取引主体で、事業譲渡の場合は対象会社が取引主体となります。

株式譲渡の場合は、株式に譲渡制限がついていれば対象会社の定款に則り、株主総会や取締役会による承認が必要です(会社法107条1項、2項)。

事業譲渡の場合は取締役会で事業譲渡契約の締結は可能ですが、原則株主総会の特別決議が必要になるため、2/3以上の株主の議決権賛成が必要になります(会社法467条、会社法309条2項)。

出典:基礎からのM&A講座 第9回 M&Aの論点(2)ストラクチャー|デロイトトーマツ

2:譲渡対価の受取人

株式譲渡の場合は、株主が譲渡対価を受け取ることになります。

これに対して事業譲渡の場合は、事業を譲渡した対象会社そのものが譲渡対価を受け取ることになります。

3:譲渡益税の取り扱い

株式譲渡の場合、個人株主であれば申告分離課税で税率が20.315%になり、株主が法人の場合は利益に対して法人税の実効税率が課税されます。

事業譲渡の場合は取引主体が法人になるので、対象会社の実効税率で税金がかかります。実効税率は法人によって異なりますがおよそ30-40%程度になるので、税制面では株式譲渡の方が有利なケースのほうが多くなります。

また、事業譲渡の場合は対象会社に譲渡対価が支払われるため、事業譲渡後に株主が会社から資金を受け取る場合にも課税されてしまいます。会社から資金を受け取る方法としては、配当での受け取りや、会社の清算、役員の場合は役員退職金等の方法で受け取ることが可能です。

しかし、税金がどの程度発生するのかは個別の具体的な状況によって変化しますので、顧問税理士などの専門家に確認しましょう。

出典:No.2240 申告分離課税制度|国税庁

出典:No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)|国税庁

参考記事:株式売却(株式譲渡)を考えるなら検討すべき4つの問題とは|税金についても解説|M&A to Z

4:法律上の地位や許認可の承継

株式譲渡は対象会社の法人格をそのまま承継するため、原則として法律上の地位や許認可もすべて引き継ぐことになります。

これに対して事業譲渡は特定したものを承継することになります。具体的には、契約であれば承継するための相手方の同意が必要です。

さらに事業譲渡では法人格が変わるため、許認可の再取得が必要となり、従業員との雇用関係も、従業員の同意を取る必要があります。

事業譲渡で会社が得た現金を株主が受け取る方法としては配当で受け取る方法や役員退職金として受け取る方法がありますが、この場合、総合課税となり累進課税制度が適用されるので注意が必要です。

なお、株式譲渡の場合、連結財務諸表を作成している会社は連結時にのれんが発生する場合があります。

5:のれんの発生の有無

株式譲渡の場合は、買い手にとっては取得時に子会社株式として取得価格が簿価となり資産計上されますので、特にのれんは発生しません。ただし、連結会計を導入している会社は連結時にのれんが発生する可能性があることに注意が必要です。

事業譲渡の場合は、譲渡対価と引き継いだ事業の純資産価格との差額がのれんとして計上され、償却期間のうちに減価償却することになります。この、のれん償却費用は税法上も費用として計上可能です。

出典:企業買収に伴い生じる「のれん」は損金算入できるか|デロイトトーマツ

参考記事:のれんとは?M&A成功のために知っておきたい「のれん」の評価の高めかた、減損の防ぎかた|M&A to Z

株式譲渡か事業譲渡かを選択するポイント

譲渡する予定の会社の全部を譲渡するか一部を譲渡するかどうか、引き継ぎが難しい契約や許認可があるかどうか、対象会社に検討を難しくするような係争中の訴訟事案などの瑕疵が存在するか、株主が個人か法人か、が判断する上でのポイントになってきます。

1:全部を譲渡するか一部事業を譲渡するか

株式譲渡の場合、株主が保有株式を譲渡することで、対象会社の法人格のまま相手先へ譲渡することになるため、一部を譲渡するということができません。

これに対して、事業譲渡の場合は何を譲渡するのか個別に特定することができ、一部の事業を譲渡したい場合には事業譲渡が基本となります。

また対象会社の事業の一部を会社分割して新しい法人を設立し、その法人の株式を譲渡するという手法を使えば、事業の一部を譲渡するということも可能です。

2:再取得が難しい許認可等がないか

事業譲渡の場合、許認可については引き継がれないため、再取得が難しいような許認可がある場合には事業譲渡を採用することは困難です。具体的には産業廃棄物処理の許認可や酒造の許認可等が挙げられます。

このような再取得が難しい許認可がある場合には、株式譲渡のスキームにした方がよいでしょう。

3:契約の承継同意を得ることが物理的に可能か

事業譲渡の場合、契約上の地位を承継するためにはすべての相手先から同意を得る必要があります。

例えば非常に多くの従業員を抱えている会社や、数多くの取引先との契約があり物理的にすべての相手方から同意を取ることが現実的でない場合には、株式譲渡の手法を取るとよいでしょう。

4:潜在債務や訴訟を抱えていないか

売り手企業が潜在債務や訴訟を抱えており、これが交渉を進める上でネックになるようなケースもあります。このようなケースの場合、株式譲渡であればそのリスクを新しい引継ぎ先が承継することになります。

そのため、このリスクを理由に低い価格を提示されたり、買い手候補からかなり厳しいデューデリジェンスを実施要求されたり、さらには最終契約の段階で表明保証まで求められるケースが考えられます。

このように交渉上、芳しくないような状況であれば事業譲渡というスキームにして、リスクを分断してしまうことも一つの方法として検討しましょう。

5:株主が個人か法人か

個人株主であれば株式の譲渡益については申告分離課税になるので、税率は20.315%です。

これに対して事業譲渡の場合は対象会社にお金が入ってきてしまうため、個人の株主がお金を受け取る際には配当金で受け取るか会社を清算することになります。

その際に得た所得は総合課税となってしまうため、住民税を合わせて最大55%となり、非常に高い税率となってしまいます。

法人株主の場合は、事業譲渡した子会社が100%子会社で完全支配関係があれば受け取った配当金は益金不算入となるため、特に課税されません。ただし、事業譲渡した際に出た利益については、もちろんのこと対象会社がその利益に応じた税金を支払うことになります。

出典:株式・配当・利子と税|国税庁

6:対象会社の繰越欠損金の有無と消費税の課税関係

株式譲渡の場合、買い手は対象会社の法人格をそのまま引き継げるため、今後対象会社で利益が出たとしても過去の繰越欠損金を使って利益を相殺することができます。

事業譲渡の場合、買い手は繰越欠損金を引き継ぎません。代わりに、事業を売却した対象会社が繰越欠損金を抱えていた場合は、事業を譲渡して得た利益と過去の繰越欠損金を相殺して利益を圧縮することができます。

また事業譲渡の場合には、課税対象となっている資産(営業権含む)に対して消費税が発生するため、その点には十分注意しましょう。

株式譲渡と事業譲渡、どちらにすべきかは専門家と話すことも大事

ここまで、株式譲渡と事業譲渡の違いを見てきましたが、実際にどちらの方法がよいかは対象会社の状況や株主の属性など個別の要因で結論が変わってくるため、総合的に判断する必要があります。

そのためどちらにすべきかの判断は、基本的な知識を身に付けた上で、まずは専門家に相談してみることがおすすめです。

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