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株式譲渡で株式譲渡承認請求書が必要になる場合|記入方法や押印について解説


公開日:2021年7月31日  最終更新日:2022年11月18日

株式譲渡の際に譲渡制限株式を譲渡する場合は、株式譲渡承認請求が必要です。株式譲渡承認請求書は、その際に作成が必要となる書類のことです。この記事では、株式譲渡承認請求書を準備する理由や記入方法、押印について詳しくご紹介します。

株式譲渡とは

株式譲渡は、会社の株式を第三者に譲渡して経営権を承継する手法のことです。株式譲渡の際は、必要に応じて株式譲渡承認請求を行います。その際に必要なのが株式譲渡承認請求書です。

参考記事:株式譲渡を行うメリット5つ|主な手続きや注意点もあわせて解説|M&A to Z

株式譲渡承認請求とは

株式譲渡承認請求とは、譲渡制限株式を譲渡する際に必要な手続きです。譲渡制限株式とは、譲渡する際に会社の承認が必要な株式のことです。一定の手続きを経て承認されることで、第三者への譲渡が可能になります。

株式譲渡承認請求の定義、知っておくべき公開会社と非公開会社の違いについて、詳しくご紹介します。

株式譲渡承認請求の定義

株式譲渡承認請求とは、譲渡制限株式の譲渡を承認するか否かを決定するよう請求することです。株式譲渡承認請求をせずに株式を譲渡することも可能で、その際は株式の取得者は、会社法第137条第2項に基づき、株主名簿に記載された株主と共同で、会社に対して譲渡を承認するか否か決定するよう請求できます。

株式譲渡承認請求を受けた会社は、承認するか否かを2週間以内に請求者に通知する必要があります。通知しない場合は、譲渡を承認したとみなされます。また、譲渡を承認しない場合は、該当の株式を買い取るか、別の買取人を指定しなければなりません。

公開会社と非公開会社との違い

譲渡承認請求が必要かどうかは、公開会社と非公開会社で異なります。

公開会社とは、全ての発行株式において、定款で譲渡制限を定めていないか、発行する株式の一部についてのみ譲渡制限を定めた会社会社のことです。一方、非公開会社は全ての発行株式に譲渡制限を設けている会社のことです。

公開会社は3名以上を擁する取締役会の設置が義務付けられている一方で、非公開会社は任意とされているなど、様々な違いがあります。

なお、公開会社から非公開会社への移行も可能です。

株式譲渡承認請求の流れを確認

株主が会社に対して株式譲渡承認請求を行います。その際は、譲渡を否認する場合は、会社あるいは指定買取人による株式の買取をするよう請求できます。株式譲渡を承認するか否かを決めるのは、定款で定めた機関です。

承認機関を定款で定めていない場合は、取締役会がある会社では取締役会が、取締役会を設置していない会社は株主総会が承認・否認します。

株式譲渡承認請求を受けた会社は、請求された日から2週間以内に株主へ承認・否認を通知しなければなりません。もし、2週間を過ぎても通知しなかった場合は、承認したとみなされます。

株式譲渡承認請求書の必要性

株式譲渡承認請求書は、譲渡制限株式を譲渡したい場合に会社に送付するものですが、実は法律上、必ずしも書面で請求する必要はありません。

しかし、株式譲渡承認請求の際に株式譲渡承認請求書を利用しないと、不承認だった場合の対応を記載できなかったり、自分が株式譲渡承認請求をしたことを証明できなくななるため、基本的には株式譲渡承認請求は書面で行うことをおすすめします。

株式譲渡承認請求書に記す内容

株式譲渡承認請求書には、必要事項を明記する必要があります。記載事項に漏れがあると、株式譲渡承認請求書の再送が必要になり、手続きに遅れが生じる可能性があります。

具体的に記載する内容について詳しくご紹介します

譲渡する株式の種類と数

株式には、普通株式や優先株式、劣後株式などがあります。

日本で主に用いられているのは普通株式です。優先株式は、配当や残余財産の分配などにおいて、普通株式よりも優先順位が高くなる株式のことです。劣後株式は、配当や残余財産の分配などにおいて、普通株式よりも優先順位が低くなる株式のことです。

株式の種類を記載したら、株式の数も一緒に記載してください。株式譲渡の契約書を確認し、間違えないように記載しましょう。

譲渡する相手に関する情報

譲渡する相手の氏名や住所を記載します。こちらも株式譲渡の契約書を確認し、間違えないように注意してください。

実印の押印を求められるケースもあり

株式譲渡承認請求書には、押印欄が設けられています。基本的に認印で問題ありませんが、実印を求められる場合があります。

実印は印鑑証明書とセットで効力を発揮する印鑑であり、本人が押印したことを証明するためのものです。そのため、認印は安易に使用するが、実印は慎重に使用するケースが多いでしょう。ただし、認印と実印どちらの場合も、法的効力は同じです。

ただし、認印の場合は、自分が押していない、自分の印鑑ではないなどと主張された際に、本人が押したものであることや本人の印鑑であることを立証するのが困難です。

なお、実印を押すように求められても拒否できますが、拒否するメリットはありません。何らかのトラブルが起きたときに、実印ではなかったために事態が悪化することもありえます。特別な事情がない限りは、実印を押すことをおすすめします。

不承認の際の対応も明記

株式譲渡が不承認になった場合は、会社か指定買取人が該当の株式を買い取ります。株式譲渡承認請求が不承認だった場合の対応について、株式譲渡承認請求書に明記しましょう。

それにより、期限内に対応するよう促すことができ、結果的に株式譲渡がスムーズに進むようになります。

株式譲渡承認請求書の提出後

株式譲渡承認請求書を提出すれば、手続きが完了というわけではありません。株式譲渡承認請求が承認されるか否認されるかで、その後の対応が変わってきます。株式譲渡承認請求書の提出後の流れと、承認・否認それぞれのケースの対応方法について、詳しくご紹介します。

譲渡が承認された場合

株式譲渡が承認された場合は、株主名簿に記載されている株主の氏名を譲受人に変更するように請求します。株式譲渡承認請求だけでは、実際のところ譲渡制限株式の譲渡はできないので注意してください。

株式譲渡契約が締結すれば株式は譲渡できますが、譲受人が会社に対して株主としての権利を主張するには、株主名簿に譲受人の氏名が記載されている必要があります。

株主名簿の氏名の変更を請求することを「株主名簿書換請求」といい、譲渡人と譲受人が一緒に行います。なお、株式譲渡承認請求と株主名簿書換請求の順序を入れ替えることは不可能です。

また、株式名簿書換請求に対して会社は否認できません。つまり、株式譲渡承認請求が承認された時点で、後は手続きを行うだけで株式譲渡を実現できるのです。

だからといって、手続きを後回しにしてはいけません。株主名簿に氏名が記載されていなければ、株主としての権利を主張できないため、実質のところ株式譲渡は完了していないことになります。

譲渡が承認されなかった場合

株式譲渡が承認されなかった場合は、譲渡制限株式は譲渡できません。しかし、会社が株式譲渡承認請求を否認してばかりいると、株式の換金やオーナー経営者の退任などを実現できなくなります。

そこで、株式譲渡を承認請求した株主は、株式を指定買取人あるいは会社が買い取るよう求めることができるのです。会社が株式を買い取る場合は、自己株式を取得したことになるため、分配可能額における制限を受けます。

また、会社が株式を買い取る場合は、株式譲渡承認請求を否認してから40日以内、指定買取人が買い取る場合は10日以内に、買い取る株式数および買取の旨を株主に通知しなければ、株式譲渡承認請求を承認したとみなされます。

会社が指定買取人による買取を選ぶ場合は、取締役会の決議、あるいは株主総会の特別決議が必要です。そして、指定買取人として指定された旨を本人が株主に通知します。

株式譲渡承認請求書に関する理解を深めておこう

株式譲渡承認請求書は、株式譲渡の際に必要になる場合がある書類です。譲渡制限株式は、株式譲渡の承認を得なければ譲渡できません。

あらかじめ、株式譲渡承認請求書の記載方法や必要性などを確認しておくことが大切です。その他、株式譲渡承認請求を否認された際の株式の買取についても、チェックしておきましょう。

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