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座学ではない起業・倒産で培った企業再生M&Aのノウハウ


リソア 星野進一

今回は自ら建設会社を起業・倒産した経験を活かし、企業再生M&Aの匠として知られている株式会社リソアの星野社長に、建設会社、企業再生M&Aをキーワードにプロのノウハウを話していただきました。

建設業特化の企業再建コンサルタント

前川

現在の株式会社リソアの事業内容について簡単に説明お願いいたします。

星野

M&Aを視野に入れた、建設業特化型の企業再建コンサルティング業務を行っています。クライアントは売上10億以下、従業員数10名以下、10年以上建設業をやられている経営者が多いです。

具体的なコンサルティング内容を挙げると、銀行の融資返済が難しい場合に新規融資がなかなか下りない企業に対して財務コンサルを行うパターン、利益が出ない体質の企業に対して事業戦略コンサルティングを行うパターン、そして最後に会社売却を検討した際に適切な買い手を紹介するM&A仲介等を行うパターンがあります。

見栄を張ってうまくいかなかった建設会社の経営者時代

前川

もともと建設会社を経営されていた経験から、建設業特化型再建コンサルティング業務を始めたと聞いておりますが、当時の自分にコンサルティングをするとしたら、どのようなアドバイスをしますか?

星野

20年以上前の話になってしまいますが、当時は会社の見た目を大きくしたいとか、かっこをつけたい等がウエイトを占めていて、「内容」を良くしたい等はあまり考えていなかったと思います。小規模でやっているうちは見た目と中身が一致していたんだけれど、社員が増えてくるにつれ見た目と中身のギャップが顕著に出てきてしまっていたんだよね。

例えば、過剰な設備投資をしていたり、原価管理を怠ったたことで赤字工事を受注してしまったり、当時は大きくなることばかり考えていた。また、1990年バブルの絶頂期では人の採用をしたくてもなかなか集まらないことで苦労したが、バブル崩壊後は人が集まりやすくなり、うれしくて採用を過剰にしてしまった。

そのせいで資金繰りが逼迫した経験があります。見た目を大きく見せることよりも内容を良くするために、しっかりと事業計画を作成すること、原価管理を適正に行うことが大事だとアドバイスします。

どんな流れでM&Aに至るのか?

前川

次にM&Aの質問ですが、クライアント先が会社売却を検討し始めるタイミングはどのような時ですか?

星野

コンサル業務を行う前から会社売却の話をクライアントにはします。しかし、たいていの企業は財務資料や経営計画資料、原価管理等の資料が何もないので、まずは一緒に資料を作成するところから始めます。一緒に作成してく過程で問題意識を経営者が明確化できるようになり、同時にこの会社がどのような会社なのか私自身理解することができます。

このことにより適切な買い手先を探索することができるようになります。そうすることで、経営者が会社売却を検討したタイミングで適切な買い手先を紹介することができます。

赤字のM&Aでも諦めるな

前川

経営者からの相談でよく「赤字企業でも会社売却することは可能ですか?」と聞かれることが良くありますが、星野さんもこのような相談はよく受けていますか?

星野

はい。よく相談受けています。

前川

赤字経営の会社売却は可能ですか?

星野

経営改善に取り組んで黒字経営が可能であれば売却可能です。また、累積赤字で債務超過でも買い手の会社とのシナジー効果でグループ全体の発展に貢献できるようであれば売却も可能です。また、買い手の会社が繰越損失を使い、節税になる効果も期待して会社売却ができることもあります。財務状況の悪い会社だからといってあきらめる必要はありません。

建設会社の売却価値は技術者の質と量を見よ

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前川

建設会社の買い手先が売買対価を決める際に一番重要資する項目は何ですか?

星野

建設会社の場合、技術者のレベルと人数は大きい要因だと思います。特に施工管理技士などの有資格者がいるかどうかは大切になってきます。また、建築系の場合は住設関係の仕入れの仕切り(掛け率)が誘致な取引契約と実績があるかどうかです。その他に優良な協力会社を多く抱えていることも財産になります。

前川

高い値段で会社売却するために、今のうちから準備した方がいいことはありますか?

星野

技術者のレベルと人数が値段を決める大きな要因となってくるので、施工管理技士の資格を多くとることで技術者全体のレベルを上げることが大事になってきます。また従業員の人数を減らさないためにも離職率を下げる努力も必要になります。採用によって人数を増やす場合は経験年数が多いかつ40代くらいの若い人を採用したほうがいいかと思われます。

売却額2億円以下の小さい会社でも対応可能

前川

企業価値(売買対価)が低い企業だとM&A仲介業者が仲介業を断るケースがありますが、売買単価2億円未満の小規模案件の買い手ニーズはどのくらいあるのでしょうか?

星野

比較的に表には出にくいが、潜在ニーズは多くあると思います。現に当社の買い手クライアントのニーズの3分の1くらいが2億円未満の小規模ニーズになっています。

会社売却は自分の子供を手放すようなものだ

前川

星野さんがM&A仲介業を行うにあたって一番大切にしていることは何ですか?

星野

創業者の魂が入っているような企業であれば、会社売却は自分の子供を手放すことと同じことです。高く売るや早く売るではなく、現経営者がこれからどういう人にバトンタッチしていきたいのかを感じ取ることが一番大切にしていることです。

M&Aを社員に告げるのは売却の直前が肝

前川

M&A仲介業を行うにあたって一番苦労されていることは何ですか?

星野

会社売却に対して従業員とどれくらいコンセンサスが取れるかが一番苦労します。基本的に会社売却は秘密裏に行うものなので、従業員に伝えることは直前になります。この時に従業員からの反対が起これば、円満に会社売却をすることが難しくなってきます。しかし、事前に従業員に会社売却を行っていることを相談してしまうと、情報漏れのリスクが生じてしまうので、コンセンサスをとることはなかなか難しいことです。

前川

従業員に会社売却を告げるベストタイミングはいつごろでしょうか?

星野

経営者のカラーにもよると思いますが、たいていの企業は直前に告げることが多いです。ただし、経理の担当者にだけは絶対に情報を守る前提で告げることが一般的です。理由としてはデューデリジェンスの際に財務資料などの大量の提出が必要になるので、経理の担当者には気づかれてしまうからです。

前川

会社売却をしている情報が漏れてしまって、不都合になったケースはありますか?

星野

取引先に情報が漏れてしまって、取引先からの猛烈な反対があり、会社売却を断念したケースがあります。業種によって、買収先が大手であれば喜ばれるケースもありますが、情報漏れによって会社売却が破談になるケースは少なくありません。

最後に経営者に一言

前川

会社売却を検討する際にしなければならないことは何になりますか?

星野

期間(リミット)を決めることが大事だと思います。ダラダラしてしまうとさらに衰退する恐れも考えられます。

前川

最後の質問になりますが、会社売却を検討している経営者に一言よろしくお願いいたします。

星野

M&Aも経営再建の一つの方法に過ぎないと思います。しかし、M&Aは良い縁があるかわかりませんから、M&Aだけに期待せず経営改善を一から見直し実行することが良い縁に出会えることだと考えます。

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星野進一

株式会社リソア 代表取締役社長

私は、リソア代表の星野進一と申します。昭和35年6月30日生に建設業を営む家に生まれ、20代から建設会社を設立し代表として経営をしました。しかし、30代半ばに会社が倒産することを経験しました。その後10数年いくつかの会社で勉強し、現在の会社を平成20年にスタートし10年が経ちました。私がこの会社を始めた主旨は、会社経営に何らかの問題を抱えた時に選択肢を多く与えたいと考えました。「会社の再生」や「事業承継」を考える上で、一番に重要なのはその選択肢だと考えています。将来性や社会貢献性があるにも関わらず、経営状況の悪化より、会社継続が困難に成り事業の継続を断念してしまう中小企業が多くある事です。その裏側には債権者や従業員、その家族と多くの人々が「損失」を被ります。将来性のある会社を失う事は社会にとっても損失です。弊社は、独自のネットワークと経験をベースに、本質的な「営業活動に注力する。」又は「ハッピーリタイヤする。」事を使命と考えています。

前川拓也

株式会社M&Aクラウド 代表取締役CEO

大学時代に建設会社を運営していた父から「会社を継いでほしい」と相談されたが、承継しなかったことで会社は廃業になってしまった。その後新卒でホクレンの業協同組合連合会に入会、てん菜事業本部の管理部門として100億円規模の収支計画を策定。また、農家をはじめ農業を取り巻く数多くの経営者との交渉を行ってきた。ホクレン退会後、28歳で農家と飲食店をつなぐeコマースサービスmoremoreを立ち上げる。自分が初めて経営をする立場になって、父の会社を承継しなかったことに後悔の念に駆られる。moremoreのバイアウト後、201612月に株式会社M&Aクラウドを設立し、代表取締役CEOに就任。M&Aの情報格差の壁を壊し、M&Aをもっと身近なものにすることで事業承継問題の解決に取り組んでいる。