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誰しもにM&A が身近な世界を作っていく。中小零細M&Aの実情


フィードバックグルーブ 稲葉浩太

中小零細企業にとってM&Aの仲介手数料の高さは大きなハードルになります。今回は最低手数料がダントツで安価な株式会社フィードバックグルーブの稲葉社長に、M&Aのあるべき姿を話していただきました。

CFOの役割として中小零細企業に寄り添う

前川

早速ですが、現在行っている事業について簡単にご説明ください。

稲葉

M&Aのアドバイザーの他に財務コンサルタントとして、資金調達のお手伝いや銀行などの交渉のお手伝い、税理士のセカンドオピニオンなど、CFOの役割を中小零細企業に提供しています。

報道されているM&Aだけがすべてではない

前川

御社の理念の中に『誰しもに M&A が身近な世界を作っていく』がありますが、現状身近に感じている人は少ないと思いますが、課題は何がありますか?

稲葉

旧ライブドアの堀江さんのM&Aや最近では東芝のM&Aのような大きなニュースが話題になっています。M&A=数百億円や数千億円の世界だと思われていることが多いと思います。しかし実際は1,000万円からM&Aが行われており、小規模M&Aは報道されていないだけで、多く存在しています。

前川

M&Aを身近なものにしていくために必要なことは何ですか?

稲葉

中小企業のM&Aの事例を目にすることがないだけで、実際に身近で起こっていることだと知ってもらうことが重要だと考えています。近所のお店が同業に引き継いでもらったらしいよ、という話を一度は聞いたことがあるかと思います。それもM&Aなんです。正しい知識を私たちが発信していく必要があると考えています。

M&A業者を選ぶポイントとは

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前川

会社売却をする経営者にとって、M&A仲介業者が必ず必要になってくると思いますが、仲介業者を選ぶポイントは何になりますか?

稲葉

事業内容や財務内容が良く、10億円以上で売却可能な案件であれば、上場している大手仲介業者や銀行に依頼することが最適だと思います。ただ、2億円以下や数千万円規模のM&Aであれば仲介手数料の問題があるので、大手仲介業者や銀行に依頼して1,000万円~2,000万円仲介手数料を支払うのは現実的に難しいと思います。

このような案件はM&Aブティック(中小規模の案件を得意とするM&Aアドバイザー)が向いています。M&Aブティックを選ぶポイントとしてはフットワークが軽いことだと考えています。

中小零細企業の買収ニーズは意外に多い

前川

企業価値(売買対価)1億円未満の買収ニーズはどれくらいありますか?

稲葉

具体的な数を答えることは難しいですが、かなりあると考えてくださって結構です。買収ニーズとしても現預金が1億円くらいあるので数千万円を回してみようということがあったり、最近では上場企業でも数千万円でM&Aをすることが多くなっています。また個人投資家がM&Aをするケースも増えてきているので小規模で会社を経営されている方でも会社売却ができる可能性は大いにあります。

最初の想いは、ぶらしてはいけない

前川

会社売却を行うにあたって、経営者が一番大切にしなければならないことは何ですか?

稲葉

ぶれないことが一番大切です。交渉の途中には必ず「もっと高く売れるのでは」「資料提出などに手間がかかりすぎる」などいろいろ思うことが出てきます。交渉を始める前に「とにかく高く売ることなのか」「従業員の雇用を守ることなのか」「早く売ることなのか」自分にとって何が一番大切なポイントなのかを決めることが大切になります。

前川

会社売却を行うにあたって、経営者が一番苦労することは何ですか?

稲葉

実務面では、買い手が要求する資料を手配することが一番苦労します。経理などに協力者がいればいいですが、従業員には一切内緒で話を進めようとすると、普段から財務諸表に慣れていないとかなりの労力になってしまいます。それだけではなく、一番重くのしかかることは心労だと思います。

本当に会社を売却してよいのか、従業員の雇用は守れるのか、価格交渉は大丈夫なんだろうか等、初めてのことばかりで気苦労は計り知れないものがあると思います。それをサポートすることもとM&Aアドバイザーの業務であり、時には手綱を引くこともありますし、交渉をやめる提言をすることもあります。

前川

早く売ることを重視した場合、最短で会社売却できたケースはどれくらいの期間ですか?

稲葉

売却検討している経営者と初めてお会いしてから、2か月間でM&A成約になったケースはありますが、通常は6か月程度かかります。

クライアントのために会社売却中止を提言

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前川

ご自身が経験した中で、一番印象深かったM&Aは何ですか?

稲葉

 M&Aではなくなった事例になりますが、宿泊業の運営代行の売却をお手伝いした事です。大手から個人投資家まで様々な会社に手を挙げてもらい、資料もたくさん用意しましたが結果的に売却をやめるように提言しました。そもそも新規事業に集中するための売却でしたが、事業のオペレーションや経営数字を見ているうちに改善点が見つかり、そこを完全できれば売却しないことがベストの選択だと感じたため売却の中止を提言させていただきました。

手を挙げていただいた買い手候補には申し訳ないことをしましたが、売り手のアドバイザーとして無理に交渉を進めずにクライアントにとってベストな選択を進められたことは自分の信念に則って行動できたと思います。結果的にその判断は間違ってはおらず、クライアントからは感謝されております。

できるできないではなく、そうしなければならない

前川

フィードバックグルーブさんの最低手数料に関して、業界平均よりもかなり低めの設定になっていますが、これが実現できている理由は何ですか?

稲葉

できるというよりもまず、そうしなければならないと考えています。5,000万円の売却額に対して手数料2,000万円取るというのは正しくないと思います。事業承継M&Aの場合、老後資金のために会社を売却するというケースもあります。なので、下げられるだけ下げてあげたいという想いがあります。

前川

フィードバックグルーブさんが取り扱うM&A案件でどれくらいの規模間が多いですか?

稲葉

売買単価で5,000万円から1億円が多いです。

最後に経営者に一言

前川

最後になりますが、会社売却を考えている経営者に一言よろしくお願いいたします。
稲葉

売却するという決断をされるまでに様々な苦労があったことと思います。そんな中、売却の決断をされたからには自分・相手・世間に三方良し、真のハッピーリタイアを目指し、信念からぶれずに売却のための活動をしましょう。

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稲葉浩太

株式会社フィードバックグルーブ 代表取締役

東証二部上場会社で営業として働くも、資金繰りが原因で事業撤退を経験。黒字だったのになぜ、との経験から会計を学び生鮮大手商社の経理財務部門へ転職。国内経理財務部から財務管理責任者として海外子会社へ出向し、予算管理から財務諸表作成、現地監査法人対応を経験。日本に帰国し、都内薬品メーカーにて財務責任者に就任。前年比250%の資金調達を達成、為替手数料の90%削減、借入利息の大幅引下げ等対銀行業務において実績を作るとともにM&A業務にも従事。その後、中小企業に本当に適したM&Aアドバイザーがいなかった事に不満を覚えM&Aアドバイザー、財務コンサルタントとして独立し、株式会社フィードバックグルーブを設立。中小企業に真に寄り添ったM&A,財務アドザイザーとして活動している。日本M&A協会正会員、サイトM&A協会正会員

前川拓也

株式会社M&Aクラウド 代表取締役CEO

大学時代に建設会社を運営していた父から「会社を継いでほしい」と相談されたが、承継しなかったことで会社は廃業になってしまった。その後、新卒でホクレン農業協同組合連合会に入会、てん菜事業本部の管理部門として100億円規模の収支計画を策定。また、農家をはじめ農業を取り巻く数多くの経営者との交渉を行ってきた。ホクレン退会後、28歳で農家と飲食店をつなぐeコマースサービスmoremoreを立ち上げる。自分が初めて経営をする立場になって、父の会社を承継しなかったことに後悔の念に駆られる。moremoreのバイアウト後、201512月に株式会社M&Aクラウドを設立し、代表取締役CEOに就任。M&Aの情報格差の壁を壊し、M&Aをもっと身近なものにすることで事業承継問題の解決に取り組んでいる。