keyboard_voiceインタビュー

売るなら今。調剤薬局、介護業界M&Aの実情


CBパートナーズ 今井隆

一般的な業界のM&A情報だけでは伝わらない、細かい業界それぞれの実情があります。今回は医療・介護・薬局業界に特化したM&A仲介業を全国で行っている株式会社CBパートナーズの今井社長に、医療・介護・薬局業界のM&A実情について話をしていただきました。

キャリアブレインでの経験とネットワークを活かす

前川

現在行っている事業について簡単にご説明ください。

今井

医療・介護・薬局業界では後継者不在や人材不足の問題が大きくなっています。従来であればキャリアブレイン(グループ親会社)を通じ人材紹介を行ってきましたが、それだけでは根本的解決が難しかったため、M&Aという切り口からこれらの問題を解決していこうというのが、弊社が行っているM&A仲介業です。

前川

後継者不在での事業承継問題をよく耳にすることが多くなっていますが、医療関係の業界でも多くなっていますか?

今井

ここに関しては一般的な業界と同じで、社長の年齢も6070代に差し掛かっている方が多くなっています。昔に比べてM&Aの認知度も増えており、事業承継を第三者に承継しよう(M&A)という方が少しずつ増えています。

調剤薬局は今が売り時?

19(おすすめ)

前川

医療・介護・薬局業界に特化しているということなので、それぞれの業界について質問していきますが、薬局業界のM&A市場はどのようなものになっているでしょうか?

今井

買い手のニーズが圧倒的に多い業界になっています。調剤報酬が右肩下がりになっており、院外処方率も頭打ちになっている為、薬局としてはこのビジネスモデルを拡大するためにM&Aという手段へのニーズが高まっています。

前川

数年前に調剤薬局のM&Aマーケットが大きくなり、売却価格も高くつきやすい業界になったと認識していますが、今はどのような感じですか?

今井

少し落ち着きは見せているものの、今だに人気が高い業界ではあります。

前川

なぜ調剤薬局は人気があるんですか?

今井

外部から見て立地や処方箋の枚数等で経営力が外から図りやすいというのが一番の要因だと思います。

前川

調剤薬局を買う際に買い手が重視するポイントはどこになりますか?

今井

外的要因と内的要因の二つが重視ポイントになります。外的要因としてはその薬局が人口増加している地域にあるか、内的要因は買い手先が展開していこうとしている地域と合っているかどうかになります。

前川

人気がある地域はどこになりますか?

今井

薬剤師さんが集まりやすい地域。言い換えれば人口の多い地域になります。例えば東海道沿線や新幹線が止まるような大きな都市などは人気が高いです。

前川

調剤薬局で会社買収を考えている方はどのくらいの規模を買収したいと考えていますか?

今井

売上1億半ば以上の調剤薬局を買収したいというニーズが高いですが、好立地であればそれ以下でも買収されるケースは多々あります。

前川

薬局業を売却するベストなタイミングはいつですか?

今井

調剤報酬が右肩下がりになっているというのを大前提とすると、改定ごとに売り上げは落ちてしまうので、早めに売却検討に入ることをお勧めします。また、仮に処方箋医薬品のネット販売や院内薬局への規制緩和が進んでいくと、既存の調剤薬局の売り上げは減少傾向になってしまう恐れもあるため、この観点から見ても早めに売却検討に入ることをお勧めします。

デイサービスよりも有料老人ホームが人気

16(おすすめ)

前川

介護業界のM&A市場はどのようなものになっているでしょうか?

今井

買い手のニーズとして増えているものは有料老人ホームなどの施設ものになっています。また、売り手で増えてきたものはデイサービスや訪問介護などの業種が多くなっています。

前川

デイサービスよりも有料老人ホームの方が高く売りやすいという認識で合っていますか?

今井

その通りです。

前川

介護事業を買う際に買い手が重視するポイントはどこになりますか?

今井

利用者さんが定着しているかどうか、スタッフなどの人材が十分確保されているかが重視するポイントになります。

前川

他の業界で人材欲しさに会社を買収する話はよく聞きますが、介護業界も人材確保のために買収するというケースはよくあることですか?

今井

介護業界も同じです。

前川

介護業で会社買収を考えている方はどのくらいの規模を買収したいと考えていますか?

今井

介護業に関しては売上というよりも、業態を重視する買収ニーズがあります。例えばグループホームなどは買い手の人気が高いのですが、理由として新規参入の認可のハードルが高いということがあります。

一から新規参入するよりも既存のグループホームを買収することで参入しようというニーズがあるので、売上の多寡も重要ですが、業種によっては高い需要が見込まれる場合もあります。

悩みが複数個あるなら、会社売却検討せよ

前川

経営者がどのような悩みを持った時に、会社売却のアドバイスをしますか?

今井

 経営者の方々はいろいろな悩みを持っています。ご自身の健康問題や事業承継問題、人材不足など十人十色の悩みがあると思います。悩みが一つであれば、きっとその解決策があるはずですが、2個や3個、複数個となってしまうとそれぞれ個々に解決することは難しくなってきてしまいます。

そうなった場合に初めて、会社売却を検討してみては?とアドバイスしています。

早めのうちに本心を聞きたい

前川

会社売却を行うにあたって、経営者が一番大切にしなければならないことは何ですか?

今井

我々アドバイザーに本心を言ってもらうことです。やはり言いたくないことも多々あると思いますが、言わないことで後々発覚してしまい、買い手が不安に感じるケースが多々存在します。

前川

デューデリジェンスで問題が出てくるケースにはどのようなものがあります?

今井

経営者ご自身が気付いていなかった問題が出てくることもありますし、先代が簿外債務を作っていたものが出てきてしまったなどがあります。もし、事前にわかっているところであれば本音で話していただきたいです。デューデリジェンスでは問題が一つ出てしまうと、二つ三つあるのではないか?と厳しいチェックになってしまうことがあります。

管理薬剤師が退職。どうしたらよいか?

前川

今までの経験で一番印象深いM&Aはどのようなものがありますか?

今井

初めてM&Aが成約になったときです。調剤薬局の案件だったのですが、3ヶ月後に管理薬剤師が退職されるということで、早急に買い手とのマッチングをしなければならないという案件でした。

少ない時間ではありましたが、売り手の会社にはどのような想いが詰まっているのか、買い手にはどのような想いがあるのか、しっかりとヒアリングを行い、結果的にいいマッチングができたと考えています。売り手の経営者とはいまだにプライベートでもお付き合いさせていただいています。

最後に経営者に一言

前川

最後になりますが、会社売却を考えている経営者に一言よろしくお願いいたします。
今井

一人で悩まれるのではなく、まずは相談に来てください。いろいろなアドバイザーからアドバイスを受け、一番気の合うアドバイザーに担当してもらうのがM&A成功のまず初めの秘訣です。

1(おすすめ)

今井隆

株式会社CBパートナーズ 代表取締役

証券会社にてリテール営業からIPOを中心に法人営業に従事。2012年にキャリアブレイン(現CBパートナーズの親会社)に入社。経営や人生に関わるリスクを回避・活用する手段としてM&Aを推進している。

2016年よりCBパートナーズ代表。

前川拓也

株式会社M&Aクラウド 代表取締役CEO

大学時代に建設会社を運営していた父から「会社を継いでほしい」と相談されたが、承継しなかったことで会社は廃業になってしまった。その後、新卒でホクレンの業協同組合連合会に入会、てん菜事業本部の管理部門として100億円規模の収支計画を策定。また、農家をはじめ農業を取り巻く数多くの経営者との交渉を行ってきた。ホクレン退会後、28歳で農家と飲食店をつなぐeコマースサービスmoremoreを立ち上げる。自分が初めて経営をする立場になって、父の会社を承継しなかったことに後悔の念に駆られる。moremoreのバイアウト後、201512月に株式会社M&Aクラウドを設立し、代表取締役CEOに就任。M&Aの情報格差の壁を壊し、M&Aをもっと身近なものにすることで事業承継問題の解決に取り組んでいる。